平成2年の男

燃えよドラゴン ディレクターズ・カット版の平成2年の男のレビュー・感想・評価

2.5
・映画のストーリー理論としては、オープニングで物語の方向づけ、主人公の使命、登場人物の紹介などが行われなければならない。これをもとに本作のオープニングの立ち上がりを見てみると、「今の状況はこうで、こういう悪い人がいて、君はこうせねばならない」といった無機質な説明口調で一切を済ませている。つまり、自然な展開を作るための工夫を放棄している。この点に「これはアクション映画なんだ、ストーリー性など二の次なんだ」という潔さが感じられた。見る側としても非常にエコである。

・どの登場人物も胃もたれするほどにキャラが濃い。この辺は潔くなかった。

・武術王国であるはずの島に、運動習慣はありますかと訊ねたくなるような武術家が大量に映っている。エキストラの女性はみんな美人なのに、武術経験のある人は集められなかったとみえる。

・本作を見て一番衝撃だったのが、ヌンチャクを流行らせた映画なのに、ヌンチャクを取り扱っている時間の短さである。それも一人でぶんぶん振り回してカッコをつけているだけの時間がほとんどであった。

・Good point をあげるならば、中国らしさを感じ取るセンサーに西洋ならばではの視点がある。本作の異様にサイケデリックな雰囲気は、このセンサーの賜物だろう。

・ツッコミどころの多すぎる本作が世界的なヒット作であるあたり、世代ごとにIQが5高くなる説に信ぴょう性が増してくる。映画が進化したんじゃない。我々が進化しているのだ。