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アルチバルド・デラクルスの犯罪的人生のsonozyのレビュー・感想・評価

4.5
メキシコ革命時代。裕福な家で暮らすヤンチャな少年アルチバルドは、母のクローゼットで帽子とハイヒールを履いて女性の家庭教師に怒られたりしてる。

母からもらったオルゴールにまつわる話を家庭教師から聞き興味津々。昔、妖精が王様にあげたもので、オルゴールを鳴らす度に敵が1人殺せるというのだ。
すると、ある事件が発生・・・
幼いアルチバルドの心に、脚フェチと(出ました。笑)、ある意識が目覚めたのだった。

大人になったアルチバルドは入院中。付き添っている尼僧に、その当時の話をする。その内容に不快感を感じた尼僧が薬を取ってくると出ていくと、彼は髭剃り用のナイフを手に取り、戻ってきた尼僧に襲いかかる。慌てて逃げた尼僧は誤って開いていたエレベーターのドアから転落死してしまう。
死因は事故死とされたが、参考人として呼ばれたアルチバルドは自ら「あれは事故ではなく殺人です。犯人は僕です。僕には殺人癖があり・・」と、回想を語りだす・・

一度は革命軍に略奪された、あの魔力を秘めたオルゴールを骨董屋で偶然入手。
それを機に、女性への殺人願望とそれを妄想する歓び、ある種の強迫観念に支配されたアルチバルドの“犯罪的人生”とは?

家庭教師、尼僧のほか、彼が聖女のようだと崇めプロポーズするカルロタ(実際は妻子ある建築家と不倫中)、カルロタの旧友でパトロンがいる脚線美のパトリシア、居酒屋で出会った老人の婚約者がいるラビニア(骨董屋でオルゴールを買おうとしていた)といった美しい女性たち。

アルチバルドは見た目と違って著名そうな陶芸家だったり(ジャケ写のシーンのための設定ですね。笑)、髭剃り用のナイフが7本(曜日別)入ったケースとか、酒が飲めずバーでもミルク飲むとか、キャラ設定も絶妙。

ラビニアそっくりのマネキンを従妹役として用意した誰もいない自宅に彼女を呼ぶシーンも最高。

ルイス・ブニュエルならではのシュールな妄想力、フェティシズムを楽しめました。
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