ハレンチ学園在学生

喜びも悲しみも幾歳月のハレンチ学園在学生のネタバレレビュー・内容・結末

喜びも悲しみも幾歳月(1957年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

昭和7年から昭和32年まで、日本の戦争状況ととも語られる灯台守夫婦(佐田啓二高峰秀子)の半生。自然の風景の中に人間が存在するのは木下惠介作品の基調である。夫婦が赴任するのは横須賀の観音崎灯台に始まって北は北海道から南は九州まで、さながら映画で見る日本の灯台巡りの感がある。あまりに有名な主題歌とともにある本作を通して見るのは初めてだったが、やはり2時間40分は長い。海岸の僻地にある灯台の特異性とそこに働く灯台守が過酷な職業ということを表そうとしているのだろうが、冒頭の観音崎灯台に「狂女」が住まうエピソードは必要があっただろうか。この夫婦に見舞われる決定的な悲劇は息子(中村嘉葎雄が若い!)が不良に刺殺されることだが、取って付けたような印象で胸に響くものはなかった。ラスト娘を嫁に出したあと、ややロング気味に撮る、2人で新たな着任地へと向かってなだらかな勾配を上って行くシークエンスは、この夫婦の長い年月を象徴するようで悪くなかった。