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喜びも悲しみも幾歳月のtktktnkのネタバレレビュー・内容・結末

喜びも悲しみも幾歳月(1957年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

木下恵介監督のなかでも(わたし個人の感覚では)抜群に力強い映画です。

灯台守という職業についた男、そしてその家族の生涯を見事に描いています。

灯台守とは、わたしのような温室育ちの現代人には想像もできないほど、過酷で、報われない職業です。どんな悪天候に見舞われても休むことは出来ず、また全国津々浦々の灯台を転々としていかなければならない。正直、どんなにお金を積まれてもやりたいとは思えません。

ただ(少なくとも、この時代に)灯台守はいるのです。辛く、厳しく、報われない生活を送りながら、灯台守という職についている男と家族がいるのです。

誰よりも父の苦労を、そして背中をみて育った息子が、自分も灯台守になるのだと父に伝えた瞬間、わたしは職業に客観的な貴賤など存在しないことを痛感しました。

決して幸せな結果で終わらないあたりが木下恵介監督らしいところではありますが、わたしは最後まで全力で、この灯台守の家族の幸せを願ってしまいました。

文句なしの星5つです。日本映画史上最高の職業映画かと思います。
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