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ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれからのSSRTのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

文学的な作品で、映画鑑賞後レビューを書くにあたり自分の文才、語彙の無さに辟易する
物語の舞台となった村はかなり閉鎖的で同調圧力が強いようで、主人公のエリーとアスター以外ほぼ全ての女生徒がブロンドヘアーにデニムジャケット、ジーンズという出立ち
他人と同じであることが一種のステータスになっているようだ
そんな中、おそらく村唯一のアジア人エリー(とその父親)は当然ながら村内で浮いており、ほぼ一方通行の代筆業という繋がりを除けば、学校でも孤立無縁状態
凄惨ないじめはないものの、男子生徒に毎日のようにからかわれ、物を落としても誰も手伝ってくれない
そんな中ただ一人アスターはエリーにも分け隔てなく接してくれる
ただでさえ美人の上性格も良いと来たらそりゃあ惚れてしまうよ
そんなアスターに同じように惚れているアメフト部員のポールは、エリーにアスターへの手紙の代筆を依頼する
エリーは物語終盤「愛とは厄介で、おぞましく利己的でそして大胆だ」と結論づけるが、エリー、ポールからアスターへの行動はまさに利己的そのもの
ポールは話したことすらないアスターと付き合いたくて手紙の代筆を利用し、エリーは自分の恋が叶わないだろうことも承知で、もどかしさを感じつつも手紙やチャットのやり取りを密かに楽しんでいる
アスターは本編中ほぼずっと騙されっぱなしで可哀想な立ち位置
その一方で、あくまで私から見た限り、エリーとポールの間には確かな愛が芽生えていたように思う
愛と聞くとついつい恋愛を連想してしまうが、友愛や親愛という言葉があるように、必ずしも色恋沙汰を表すわけではない
お互いに利用し合うところから始まったが、段々とプライベートなことも打ち明けるようになり、エリーが窮地の時はポールがさりげなく手を差し伸べて、エリーはポールの夢を応援するために密かに行動を起こす
ポールとアスターは最後までぎこちないままだったが、エリーとポールは良き相棒のようになっていく
何が異なるかと言われれば、お互いが自分の言葉で話していたかどうかだろう
最初の手紙でアスターから「盗用はしない」とツッコミがあったが、ポールも初めから、不器用でも自分の言葉で本心を伝えていれば、アスターとの関係はもっと上手くいったんじゃないかな?
実際に本編でも2人が付き合うようになったのは、ポールが痺れを切らして支離滅裂ながらも自分の口で愛を伝えたからだったわけだし
それでも3人は、この利己的で厄介な愛故の行動をきっかけに秘めていた思いを解放することができ、それぞれの道に進んでいくことになる
今後3人はどんなふうに成長するんだろう
まさに面白いのはこれから、本編後の物語も気になる結末だった
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