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ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれからのyassoonのレビュー・感想・評価

4.1
予告編を観て楽しみにしていたNetflix作品。

田舎町スクアミッシュ。“活気のある町“との看板の文句とは裏腹にとりたてて何もなく、人々は教会に集い、住民同士の狭い範囲での噂話に花を咲かせる。そんな中にあって、居場所のない、居場所はあるけど居心地の悪い、居場所はおろか存在さえ認識されないが自分の能力で居場所をなんとか作っている、若者達の三人三様。

アメリカのどこかの街で毎年起きてるように錯覚してしまう、何気ない日常に起きたちょっとした出来事系作品は大好き。「ラブレターの代筆」というありがちな題材を今風にツイストした良作。エリーは他人の気持ちになって文章を書くのは出来たものの、自分がどう思うか?どうしたいか?を表すのを避けてきた。ポールとアスターとの交流によって、たとえ傷つくと分かっていても自分の意志を伝える事、父を言い訳にしてなりたい自分を諦めるのをやめる。哲学や文学、映画の引用を随所に混ぜていく手際も良かった。エリーを演じたリア・ルイスの声が好きだなぁ。少しハスキーで低い暖かみのある声で凄く落ち着く。朗読やナレーションに絶対向いてる。

欲を言えばポールがエリーの想いを誤解するくだりをもう少し入れて欲しかった。どちらかというとポールは鈍感タイプなので、あの試合後のシーンは唐突に思える。

3人の若者に素晴らしい未来がありますように。あとエリーのお父さんにも。

しかしなんで中国人ってだけであんなに分かりやすく嫌がらせするのかな?ジョックの奴ら全く面白くないけどな。この作品に限らず、映画やドラマの中で彼らの行為が低次元でバカバカしく描かれ続ける事に意味があるし、多様なあり方や考え方に囲まれている方が人は寛容になれる気がする。トリッグはなんか憎めないやつだけど。(15-25)
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