TaiRa

TITANE/チタンのTaiRaのレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
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『RAW』に引き続きメタファー尽くしなのが相変わらず理屈っぽい。ギャグに振り切ってたのは良いけど。

事故って頭にチタンとか、車とセックスとか、連続殺人と逃亡生活とか、マッチョおじさんと同居生活とか、色々詰め込んでどこに話が転がんのか分かんない乱雑さが楽しい。クィアというか、枠組みの外側に行った異形の人を描くデュクルノーの一貫性は感じた。『RAW』ラストにおける、究極的な受容の姿勢(要は愛)への讃歌も今作に通底してて、やはり根っこはロマンチック。異質である自分、あるいは他者を受け容れる崇高さみたいなものが好きっぽい。幻想にのみ愛情を見出せる人間たちの切なさをじっくり描き、あらゆる「正しさ」の埒外に全振りする姿勢は良い。類型的な親子間ディスコミュニケーションの描写とか、ちょいちょい野暮ったい所もあるし、演出の細部にケレンがある人じゃないってのは感じた。チージーな音楽使いとかはそういうものとして観れるけど。車へのフェティッシュは足りないなと。レイピストとしての「神」を車に置き換える阿呆らしさは好きだし、文字通りのカーセックスとか逃げずにやってんのは偉いけど。車の存在感がもっとあっても良かったな。
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