木蘭

TITANE/チタンの木蘭のレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
3.2
 いかにもフランスらしいエログロ・ダークファンタジー。
 肉体表現の秀悦さと同時に、話がとっちらかるのも、いかにも!といった感じ。

 クローネンバーグの『クラッシュ』の様なフェティッシュな話かと思ったら、ノエミ・メルランが遊具とSEXする『恋する遊園地』暗黒版・・・が、スラッシャー映画になり、後半は歪んだ疑似親子物語が展開されて、ホウッ!?ってなりました。

 肉体表現は流石に生々しく立派で、特に機械との対比で、より肉体が引き立つ演出は素晴らしい。とにかく痛そう。

 ただストーリーもキャラクターも肉体に寄りかかって進んでいくので、内面的な物語はほぼ語られ無いままに展開する
・・・父親の愛が無いのは分かるけど何故?鉄箸を身を守る武器として心の支えにしているのは何故?連続殺人を繰り返しているのは何故?肉体的な接触を試したけど嫌悪感が押さえられなくなった?そもそも車との間で妊娠とは何故?等々。

 一応、男は失った息子を手に入れ、女は手に入れられなかった愛してくれる父親を手に入れる話ではあるのだが・・・。
 処女受胎だの、宗教的な所に着地させて誤魔化されている感じはする。

 肉体に帰結すると、最後はマッチョで父権的で暴力的で、男女ともに生きづらいよね・・・という事は伝わった。
木蘭

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