イライライジャ

TITANE/チタンのイライライジャのネタバレレビュー・内容・結末

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

事故で頭にチタンを埋め込まれた女。車に性的倒錯するようになり、殺人を繰り返し、車と性交して妊娠する。奇妙なボディホラー。
一体何をどうやったらそうなるのか誰もわかるまい。観る人によって解釈が異なりそうだけどかなり好みの映画だった。

チタンを埋め込まれたあの日から金属寄りの人格になってる。金属寄りの人格って何だよと思うけど乳首より乳首ピアスに興奮してたし、無機質な人格と強靭な肉体になり、殺人衝動を制御できなくなる。

同監督作『RAW』では「やはりDNA…!お前は生涯DNAから抜け出せない…!」という血縁の恐怖があった。
そして本作ではそんな血縁の呪縛から抜け出す話なのだと解釈した。冷酷で愛情が無い性格は明らかに父親譲り。
姿を変えて、行方不明の男になりすまし、見知らぬ“父”と親子になる。

一方、行方不明の息子を求める中年は衰える身体にステロイドを打って強さを保つ。
父からの愛を知らない女性と、息子に愛情を注いで“生”を見出したい中年男がマッチング。
2人の中に「血縁関係の無い家族愛」が生まれ、オマケにチタン人間も産まれる。今後3人で、夢見ていた家族を築くのはとてつもなく歪だが、願ってもいない幸せ。
狂気のハッピーエンドに感動した。