YukiSano

TITANE/チタンのYukiSanoのネタバレレビュー・内容・結末

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

車とセックスする殺人鬼が聖母になるまでの物語。

一切、予測不能のストーリー展開と激痛描写のオンパレードで脳味噌を痺れさせた後に、じっくり父と子を超えた愛の物語に変容していく。

罪人が聖母であったり、LGBT要素のあるヒロインが家父長制の塊みたいな所に行くと犠牲者のように見えたり、矛盾する組み合わせを細かく織り成して観客を困惑させてくる。

デュクルノー監督のデビュー作「ジュニア」では少女の成長を皮が剥ぎ取れていく様子で見せ、出世作「RAW」では第二次性徴の嫌悪感とカニバリズムをかけていた。凄まじい発想力で女性の性に対する嫌悪感を表現してきた監督がついに妊娠出産について描くのは必然。次回作は子育てだろうか。

脳髄に刺激を与えまくってラストに倒錯を超えた愛の結晶を見た時に心から感動してしまった。この歪んだ世界の中で罪人の生む異形の生命さえも美しく尊い。

素晴らしい作品にカンヌはパルムドールを与えた。それこそ狂気。
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