凄すぎて泣きながら笑っちゃった。
ショッキングで獰猛だが湿っぽい悪意ではなくむしろ狂った肯定へ突き抜けていくような映画だった。最高だった。
自分を男性に偽ることで、より主人公の身体が歪なものに見えてくる。社会的にも生理的にも歪なものになっていく。
社会の中に自分のアイデンティティに名付ける名前がない。社会は個人の歪みを無かったことにしたいし、自分も社会に溶け込むために歪みを隠蔽する。そういう腹に抱えた謎の腫瘍を持っていて、ギリギリのバランスで社会に溶け込んでいる。
そういう自分の歪さをそのまま受け入れていくれる存在に他者がなっていくことの激しい軋轢が映されていた。そして生理的な不快感がものすごいけど、それは自分の生活から無かったことにしたい痛みでもあると思うし、社会のシステムに組み込めない生物的な蠢きだと思う。
こんなに突飛な人間と突飛な設定の映画なのに、見るべき現実を見せつけられたようなすごいパワーの映画だった。