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兄の帰還のyのレビュー・感想・評価

兄の帰還(2013年製作の映画)
4.0
兄の帰還を待ちわびていた弟が、兄の知られざる一面を目撃してしまう。同性愛が否応なく醸す官能的な部分に頼っていない印象を受けるため、数あるこのテーマの作品ではかなり好みの部類に入る。弟の戸惑いと、新しい世界を知ったことによって変化した視点を上手に演出している。兄が悪いわけではないことを理解しているからこその沈黙が、いつの間にか自分を守る盾から他者を傷付ける刃物へと変形していく。そして、兄弟の絆は次のステップへ。
世にはLGBT映画と言われるジャンルの作品が溢れているけれど、自分が観たいのは性的志向なぞ関係なく、人物の内面に迫るドラマを描くものだとハッキリ認識した。思春期の青少年の心の揺らぎを巧みに表現した大傑作。これを短編でやられてしまうと、そこらの表面的な長編LGBT映画の殆どは陳腐化してしまう。
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