カレス

キング・オブ・スタテンアイランドのカレスのレビュー・感想・評価

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IMDb 7.1
吹替版
青春コメディ

スコット・カーリン: 主人公
クレア・カーリン : 妹
マギー・カーリン : 母
レイ・ビショップ : 消防士
妹のクレアは目的をもって生きてきて、いよいよ大学に進学する。スコットは24歳になってまだ定職がない。刺青だらけの彼は、地元の仲間とマリファナを吸ってぐだぐだする毎日。スコットがダメ人間になったのは、消防士の父親が消火中の事故で死んでからだ…

ジャド・アパトー監督、ピート・デイヴィッドソン主演の青春コメディ。
自分はジャド・アパトーの下品なギャグは好まないが、作品に何か優しさを感じる。それが見当違いでなければ、その優しさは彼自身の優しさからくるものなのだろう。スタテンアイランド(スタテン島)はニューヨークでも格付けがちょっと下の島だ。そこで生まれ育ったダメ人間のスコットが成長する物語を、監督は作りたかったんだと思う。
ピート・デイヴィッドソンは米テレビで人気のコメディアンで、Wikiによればこの映画は彼の半自伝的映画だ。アパトー監督はデイヴィッドソンの半生に共感して、優しさをもって映画を作り上げたと推測される。デイヴィッドソンの強い個性の影響で、ぼくにはこの映画をうまく評価できないのが残念だ。

ネットのニュースによれば、デイヴィッドソンはクローン病をかかえ、境界性パーソナリティ障害(映画の中では発達障害)がある。クローン病は原因不明の難病だ。原因の分かっている治療可能な病気とは違い、不健康な体調がいつ治まるか分からないという本人の苦痛は大きい。発達障害というのは、自分が普通と違うというのが本人には分からない、そういう辛さと生きにくさがある。自著で語っているが、脳神経学者の中野信子さんも「自分が違っているのが分からないけど、普通の人だったらこうするだろうことを真似している」とのことだ。それだけの苦労をして、コメディアンとして成功したデイヴィッドソンを、アパトー監督は応援するのだと思う。
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