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トランスフォーマー/ビースト覚醒のyahのレビュー・感想・評価

2.9
「あなたはトランスフォーマーに何を求める?」がハッキリと反映される作品。

私はビーストウォーズ地上波リアルタイム世代で、シャイア・ラブーフ主演『トランスフォーマー』1作目大好きっ子。
公開当時は劇場で3度のリピート鑑賞。

テーマ曲のLinkin Parkや劇中歌のThe Usedなど2007年に流行したラウドロックとのコラボレーションや、実質コンピレーションアルバムとして発売されたサウンドトラックに胸を馳せた。

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公開日より1ヶ月前、試写会にて鑑賞したものの、個人的には様々なシーンへの“消化不良”が強く、熱狂的なトイコレクターやリアルタイム世代の「トランスフォーマー有識者たち」に解説を依頼した。

今作は実に様々な過去作オマージュが散りばめられており、初期アニメや玩具はもちろん、アメコミ版から拾われた要素もあるらしい。

突拍子のない展開も元ネタがあるんだからないんだかで、楽しめる人は両手を叩いて楽しめるように製作されたのだろう。

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一方、『最後の騎士王』のように大味で退屈な謎解きや陳腐な人間ドラマなど、相変わらず取ってつけたような出来の脚本は、やはり擁護の仕方がわからないほどに劣悪で、果たしてこれを心から楽しめる観客は居るのだろうかと疑問を抱く。

満を持して登場したビーストウォーズの戦士たちも、あれではジャングルに紛れる以前の問題で、ハリーポッターシリーズに登場する巨大な魔法生物をメカニカルにアレンジしたのようなデザインだ。

今回は小さいサイズの敵が無数に登場することから、ビーストウォーズ陣営はゴリラやチーターなど実際の動物から変形するパターンで問題なかったかもしれない。メタルスとも違う、何とも言えないサイズ感と設定にはモヤモヤだ。

そもそもビーストウォーズ自体、巨大なハチやクモは擬態もなにもないと言われてしまえばそこまでだが、実写映画に求めるリアリティラインを改めて考えさせられる設定ではあった。

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これは余談だが、音響が素晴らしいと評される本作のサラウンドも試写会場(超大手シネコン、築10年、約300人収容)ではあまり伝わらず、映像はモヤっとしており、終盤まで全く空調が効かずに酸欠状態、汗ばんだ顔を手であおぎながら鑑賞するなど、そもそも体験価値が高いとは決して言えない試写会だった。

エアコンの効いたドルビーシネマやIMAX、4DX吹替で鑑賞すればもう少しは許容できるのであろうか。でもそこまでの愛は、この作品にはないな……。

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鑑賞から1ヶ月、本作を褒める声が他方から聞こえてくるようになり、重い腰を上げ感想を投稿した。

やはり私はマイケル・ベイ自身が監督するトランスフォーマーに魅了され、私なりの「原点」への執着から身動きが取れない人間なのかもしれない。多少なり不甲斐なさを感じながら、皆さんの感想を眺めている。
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