Masato

ジョン・ウィック:コンセクエンスのMasatoのレビュー・感想・評価

4.6

キアヌ・リーブスが体を張りまくるジョン・ウィックシリーズ第4作目!今回もシリーズ最長のランタイムで四方八方からやってくる敵を片っ端から薙ぎ倒していく。

スタントで命を懸けるトム・クルーズとは別路線の巧みなガンフーでアクション映画の最先端を突っ走るキアヌ・リーブス、チャド・スタエルスキ監督、そして87/11プロダクションの凄まじさがまたもや遺憾無く発揮された作品であり、やってることは相変わらず敵を殺すことなのだけれど、毎度斜め上の発想で見せ方やシチュエーションを考えてきて飽きさせないのが流石。

今回はキアヌのアクションだけでなく、真田広之とドニー・イェンというベテランのアクションも見せてくれて、かつミュージシャンのリナサワヤマも機敏なアクションを見せてくれるので最高。敵も斜め上の姿で登場するスコット・アドキンスや格闘家のマルコ・サロールなど多種多様に異なるスタイルでやってきて、この個性の豊かさは本当にゲームに近い。途中でホットラインマイアミみたいになるシーンはヤバい。

個人的にはドニー・イェンと真田広之が同じ画面にいる瞬間が一番興奮した。ドリームマッチすぎる。今回のドニーさんはチアルートに続いて盲目キャラだけど、相変わらず素早すぎて見えない剣戟やスラップスティックなコミカルさもありつつめちゃくちゃ強くてカッコいい香港映画らしさを醸し出すアクションは流石。

また今作は敵が主席連合なので前作の終盤と同じく敵が防弾性能を持ち合わせていて、単純な撃ち合いではなくなっているところも良き。如何に相手の無防備な部分を突けるかという勝負にもなってくる。そして如何に環境を利用するか、悪環境を避けながら戦うか、とにかくアイデアフルすぎるので楽しすぎる。

ストーリーもシリーズで随一の奥深さ。圧倒的な力を誇る主席連合を相手にすることで次々と大切なものを失っていく。それによる哀しさや他者からの怒りを受け止めながらも、自由を求めてジョン・ウィックは闘っていく。亡き妻のために、自分のために、やくざな世界から逃れようと藻掻く本能とそれによる罪悪感が押し寄せてくる地獄。

今回は朝焼け、夕焼けのオレンジ色がテーマカラーとなっており、常に基調となる色を設定して映像美を意識してきた本シリーズは、終わりの見えない闘いについに終止符を打ったあとの感触をこのオレンジ色に込めているようで、まるで何百人も死人が出た映画とは思えないしっとりとした終わり方で素晴らしかった。
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