ぶみ

ジョン・ウィック:コンセクエンスのぶみのレビュー・感想・評価

4.0
報いを受ける時がきた。

チャド・スタエルスキ監督、キアヌ・リーブス主演によるアクションで、同監督による『ジョン・ウィック』シリーズの4作目。
主席連合に追われる身となった主人公ジョン・ウィックの姿を描く。
前作までは鑑賞済み。
主人公となる殺し屋ジョン・ウィックをリーブス、裏社会の聖域となるニューヨークにあるコンチネンタルホテルの支配人をイアン・マクシェーン、同ホテルのコンシェルジュをランス・レディック、地下犯罪組織を従事る男をローレンス・フィッシュバーンが演じており、ここまではシリーズおなじみのメンバー。
そのほか、ジョンの旧友であり、大阪にある同ホテルの支配人シマヅ・コウジとして真田広之、コウジの娘で、同ホテルのコンシェルジュとなるアキラとしてリナ・サワヤマ、ジョンやシマヅの旧友となる盲目の暗殺者ケインとしてドニー・イェン、主席連合のグラモン侯爵としてビル・スカルスガルド、同連合の調停人としてクランシー・ブラウン、同連合のメンバーとしてスコット・アドキンス、ナタリア・テナ、ジョンを追う犬を連れた賞金稼ぎとしてシャミア・アンダーソン等が登場。
物語は、それぞれの思惑がなんやかんやあるものの、特に深く考えずに観ることができる展開となっており、本編開始前に、簡単に前3作のおさらいが流れるのも、なかなか親切なところ。
舞台としては、大きくはニューヨーク、大阪、パリとなっているが、大阪については、いかにも外国然とした地下鉄車両を筆頭に、やたら漢字が多いネオンや看板等、かつては本シリーズの1作目を共同監督として名を連ねたデヴィッド・リーチ監督の『ブレット・トレイン』ほどではないにせよ、若干トンデモニッポンとなっていたのは残念なところ。
ただ、そこで繰り広げられる日本刀や拳銃、はたまた短刀や弓を駆使したバトルは和のテイストをふんだんに取り入れており、前半の見どころの一つ。
また、後半では、室内を上から見下ろしたゲームのような視点での長回しがあったと思えば、パリの凱旋門前のロータリーをドリフトで旋回しながら銃を乱射しまくったりと、ハイライトばかりであり、アクションに関しては終始飽きさせないものとなっている。
ただ、3時間に迫ろうかという上映時間は流石に長く、もう少しそぎ落として、せめて2時間半程度にはおさめて欲しかった次第。
もう一つ、残念なのは、シリーズを通じてそんなに登場シーンは多くはないものの、コンチネンタルホテルのコンシェルジュ・シャロンとして、抜群の存在感を放っていたレディックが、本年3月に鬼籍に入ることとなってしまったことであり、彼の勇姿を目に焼き付けておきたいところ。
ジョンは、クルマに何度轢かれようが、高層ビルから落ちようが、階段を転げ落ちようが、何度となく、すぐに復活するし、盲目のケインの無双っぷりは、冷静に考えるともはやコントのようなのだが、これを邦画でやると、例えば先日観た行定勲監督『リボルバー・リリー』のように、トンデモ作品になってしまうところを、キレキレのアクションものとして観ることができるのは、やはりハリウッドだからこそなのか、はたまたジョン・ウィックというブランドがなせる業か。
若干、リーブスのお腹が出ていたのが気になったものの、シリーズの集大成として十分満足いく仕上がりであり、バトルでも柔よく剛を制すといったしなやかさを、そこかしこに垣間見ることができるとともに、グラモン侯爵を演じたスカルスガルドが、途中から小栗旬に見えてきた良作。

盲目でも、正しい道は見えるはず。
ぶみ

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