ハル

ジョン・ウィック:コンセクエンスのハルのレビュー・感想・評価

4.0
3時間弱の長丁場、どんな展開が待っているのかと思いきや、2時間を経過してもひたすら戦い続けている。
ストーリーテリングなんか知ったこっちゃないと言わんばかりに永遠と。
「え、あと1時間もこれが続くの?流石に飽きてきたかも…」となってしまったけど、その時ふとここまでの『ジョン・ウィック』を思い浮かべてみた。

アクションの基本は華麗、かつスタイリッシュに観客があっと驚くスタントを見せるもの。
でも、シリーズの趣旨は全く違ったんだ。
Part1から一貫して、同じように戦い続けてきたジョン・ウィック。
無骨に無様に愚直に。
出来ることはそれしかなく…戦うことにしか存在価値を見いだせない殺し屋の哀愁ロード。
妻を失い、路頭に迷い、ただひたすら死に場所を求める『防弾スーツ最強殺戮戦闘マシーン』(にしても防弾スーツ強すぎない?)
言ってみれば、『彼が生きることで大切なものは消えゆく、最も悲しき存在』
今作では親友すらも敵にまわったね。
そう捉えれば、ジョン・ウィックという孤独な男の人生を壮大な起承転結になぞらえ描いている事が深く儚く伝わり、沁みてきた。
その果てに辿り着いた感情が「生きたい」であり、残した言葉が「Loving Husband」なんてかっこよすぎるよ。
大阪の死闘から繋がる“凱旋門サークルアサシンカーニバル”はこれまでに見たことがないタイプのバトルシーンとなっていて、心底痺れてしまう。

また、マーケティング視点で見るとハリウッド大作が日本の都市を主要ロケ地にしてくれた事は非常に大きな意味がある(NEO大阪みたいな感じだったけど、まぁクローズアップされれば何でも良い)
日本の文化や歴史的な建物はコンテンツの宝庫。
労働市場のシュリンクに合わせて様々な業界が斜陽産業化していくはずなので、対外的にどんどん開放していくことで潤う部分が沢山出てくる。
そうした意味でも『ジョン・ウィック:コンセクエンス』は一つの方向性を照らしてくれた偉大な作品(単純にスーパースターの来日数が増加して、劇中で見知った街やエリアが出てくるだけでも心は弾むもんね)

全てを失った、オンリーワンの行き着く先を見届ける最終章。
キアヌ・リーヴスさん、この哀れで最高にイカした男をスクリーンに存在させてくれてありがとう。
あなたにしかできない役柄だったと思います。
「コウジ、メイワクカケテスマナイ」、日本人向けサービスにも感謝。
そして、シリーズ4作トータル9年の長旅、一先ずお疲れ様でした(まだ続きそうだけど、キアヌ・リーヴスも59歳。来年で還暦か)
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