あり

ジョン・ウィック:コンセクエンスのありのレビュー・感想・評価

4.0
 スタイリッシュな映像と過激なアクションシーンのつるべ打ちで最後まで楽しめた。
 上映時間はシリーズ最長の2時間49分ということで観る前から少々尻込みしていたが、そんな心配は無用だった。その長さをまったく感じさせないほど終始ストレスフルに観ることができた。

 物語は前作から直結している。今回の適役は組織の首席連合を牛耳る若き権力者グラモン。ジョンは彼に多額の賞金をかけられ追い詰められていく。ここで自分は、ふと思った。アレ?これって前と同じような展開じゃ…?そうなのである。実はこの「ジョン・ウィック」というシリーズは第1作こそ斬新な設定とキャラクターで映画ファンの注目を集めたが、第2作の終盤からここに至るまで実は同じようなことを繰り返しているだけなのである。

 しかし、逆に言うと、この脳みそを全く使わせない作りこそ、アクション優先なエンタメ作品の”肝”ではないかと思う。パワフルな映像とキャラクター、魅力的な世界観でグイグイと観る者を惹きつける。そこに本シリーズの強みがあるように思う。

 個人的には、前半の大阪を舞台にした格闘シーン、中盤のカーチェイスを交えたアクション、後半の階段落ちが印象に残った。短いカットで編集するのではなく、極力カットを割らないアクションも素晴らしい。無論スタントマンが演じている個所もあるのだが、キアヌの顔が映る箇所は基本的に本人がアクションをしているのだろう。トム・クルーズもそうだが、この年齢で過酷なアクションを演じるというのだから大したものである。
 他に、室内の銃撃戦を天井の俯瞰視点で捉えた長回しにも驚かされた。ほとんどゲームをプレイしてる感覚に近い。
 ちなみに、アクションシーンではないのだが、ポーカー対決のシーンもスリリングな駆け引きが堪能できて面白かった。

 キアヌ以外のキャスト陣も健闘している。
 ジョン・ウィックの暗殺を命じられる盲目の殺し屋をドニー・イェン、ジョンと旧知の仲である日本人を真田広之が演じている。
 この両者が相まみえるシーンにはぞくぞくするような興奮を覚えた。実は、彼らの間にも細やかにドラマは用意されていて、その顛末に哀愁と切なさを覚えた。

 一方、本作で惜しいと思ったのは、ミスター・ノーバディという賞金稼ぎの扱いである。これが今一つ活かしきれなかったのが残念である。犬を愛する孤独な殺し屋という、まるでかつてのジョンの鏡像のような存在だっただけに、やりようによってはもっと深みのあるキャラクターに出来たと思う。

 尚、エンドロールの後にオマケがついているので最後まで席を立たぬように。サブタイトルの意味が改めて噛み締められるようなオチが待ち受けている。
あり

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