ゆかちん

ジョン・ウィック:コンセクエンスのゆかちんのレビュー・感想・評価

3.4
お疲れ、ジョン・ウィック…。

邦題っていつも微妙なのに、このシリーズの邦題はピッタリだった。特に今作。
見終わったあと、「まさにコンセクエンスか…」て呟いたもん笑。

このシリーズは、一作目面白いな〜と思ってたんやけど、二作目以降はなんか大きくなって組織とか絡んできて人間模様も色々あって人をゲームみたいに殺すし、観てて疲れるなぁ〜ていう感想が大きかった。
でも、今作は一番上映時間が長いのにも関わらず、ダレずに観れた。ゲームみたいなのにも慣れたのかも。
人が1日に摂取して良いアクション量を超えているけどw、めちゃ満足いくものやった。


●ジョン・ウィックの様式美が到達
このシリーズて、普通のアクション映画とは違うなって思うのは、めちゃゲームみたいなところ。
「アクションを魅せる」を優先した結果こうなったのか、作り手がゲーム的要素を取り入れたかったのか。

マトリックスみたいて言う人がいるけど、確かに、仮想現実ぽさある。
だって、普通の人がいないw
どんだけ殺し合いが起きようが警察こないし、その辺にいる人たちが巻き込まれたりとかしない。(一作目は仲良しの警官が来てたりしたけど)
現実世界のパラレルワールドで、ジョンたちの世界があるみたいな。
二作目以降それが顕著になった気がする。

武器や防具というアイテムを協力者や敵からゲットして闘う、て感じもゲームぽいし。
てか、コンチネンタル自体も回復ポイントぽいし。

このゲーム的リアリティは、アクションシーンの、基本的にカットを割らない、カメラもあまり動かさない、というところにも感じる。ロングショットの落ち着いた構図で絵を繋げていく。
敵の第一波をやっつけたら第二波、第二波をやっつけたら第三波と、連続的にアクションが続いていく…。こういうのもゲームぽい。
まあ、細かいカット割をするより、対峙して行うアクションをまるまる魅せたい!てのもあるのかな〜ていうのもあるけど。

究極は、後半の頭上から撮った一連のシーン。
ボンバーマン?とか、2Dの、ああいう上から見るゲームの構図みたいに思った。
てか、あの火の出る銃、強すぎるw
あのシーンめちゃ良かったなぁ。新しく感じて面白かった。


あとは、アート的な魅せ方も極まってきてた。

暗闇の中、青を中心にした透明感のある発光ライト…ガラスや鏡がたくさん…というのは前から引き続き洗練されてて良かったんやけど、絵画的というか、古典西洋美術って感じのシーンも綺麗で良かった。
ウィンストンが侯爵に決闘申込にいった美術館やパリのエッフェル塔前のお題?出し合うやつとか。
最後の寺院の前で倒れるジョンと朝日とか。

そういう、絵的にもカッコよくて美しい、アートな魅せ方を意識しているようで良かった。

音楽も良かった。
paint it blackじゃなくてredなのね。


世界をあちこち渡り歩くのも楽しかった。
ニューヨーク、大阪、ドイツ、パリ。。



●スタントマンたちゴイゴイスー!
アクション映画はだいたいそうだけど、ジョン・ウィックは特に、スタントマンの偉大さを感じる。
1人、大阪のシーンのエスカレーター落ちした人とかエグかった。
モブ適役たちの、倒されて再び起き上がってトドメさされて…て、さながらゾンビのように笑。
カッコよく殺される人がいれば、斧が頭に刺さったまま座ってる人が映ったりw
たまに笑ってしまうのあるのもご愛嬌w

この人たちが連携して魅せながらジョンを襲い、倒されていく姿は、見事だなと思った。

しかも、ラストのサクレ・クール寺院の階段のとこは、相手役のスタントマンもフル動員されて、ジョンに倒されては階段を昇り、また倒されることを繰り返していたとか。そんなんやから、彼らの中には、6回殺されている者もいたとか笑。お疲れ様っすw

だいたい戦闘シーンて、主人公とか主要キャラに目が行くのに、たまにジョン・ウィックよりモブ適役の方に目がいくことがあって、こういうリスペクトいいですねってなった。

でも、たまに笑かしにきてるよね?笑


●個性的なキャラクター
元々出ていた
ニューヨークのコンチネンタルホテルの支配人ウィンストン(イアン・マクシェーン)
コンシェルジュのシャロン(ランス・レディック)
地下犯罪情報組織の王バワリー・キング(ローレンス・フィッシュバーン)
…の3人も良かったけど、

今作の
大阪コンチネンタルのコウジ(真田広之)とアキラ(リナ・サワヤマ)
盲目の暗殺者ケイン(ドニー・イェン)
ヴィランのグラモン侯爵(ビル・スカルスガルド)
ドイツの中ボス的なキーラ(スコット・アドキンス)
犬を連れた賞金稼ぎミスターノーバディ(シャミア・アンダーソン)
…は、それぞれ個性強くて良かった。

まあ、このキャラもゲームぽいというか記号ぽいよなー。

リナ・サワヤマ、サマソニとか出てた世界的ミュージシャンやのにアクション映画で俳優デビュー。
彼女の顔は外国人が思う日本人顔なのだろうか。
スタントカッコ良かったな〜。細く小さいからこそ、すばしっこく動いて相手を翻弄するというか。スタントマンの人が良かったのかな。

真田広之かっちょ良かった!
剣捌き〜!!
そして、義理のために命をかけると言う、なんと古典的侍のステレオタイプ!
むーん。最後、ケインは負傷した2人を逃すつもりだったのだから、そのまま隠れてくれれば良かったのに〜て思ったけど、そうはいかないんやろかね。侍だから。

ドニー・イェンのアクションカッコ良かったなぁ〜!!!
盲目ぽさ出してるとこあったけど、見えてるやろ感w
ストーリー的には、ケインが裏主人公て感じなのかなー。
てか、最後の階段でのジョンとの共闘は胸熱すぎたー!

ビル・スカルスガルド、お色直し多すぎるw
途中からちょっと笑ってもうたわ。
で、スタイル鬼良すぎて何でも似合うという。製作サイドがあれ着せたいこれ着せたいで楽しんでそうw
めちゃ細かい刺繍とか入ってそうな貴族的な服も着こなせますね。
てか、お父さん同様、悪役多めなのかな。
北欧俳優悪役多め。

シャロン、演じる役者さんが亡くなったというのを見てたからどうなるのかなと思ってたら、ああ…涙。シャロンめちゃめちゃ良いキャラやったのにな。。
最後まで粋でカッコ良かったけど、残念すぎる。



●大阪
あれどこやねんw
最初は道頓堀映ってたけど、コンチネンタルはどこにあるんやろ。大阪城らへん?w
でも、赤い外観とかはHEP FIVEみたいやなて思った笑。
というのも、HEP NAVIOのトーホーシネマズ梅田で見たからかも。
そしたら、梅田へ行け、てセリフが出てきて、梅田で聞いた、真田広之の梅田へ行け、て思ってもうた。
でも、あんな電車走ってないw
ブレットトレインみたいやった。

まあでも、大阪を取り上げてくれたのは良かったです。
何で大阪なんやろ?
ガヤガヤしてるから?その筋の方いそうやから?
どうせ偏見丸出しなら、武器の一つにたこ焼きクルクルするやつとかお好み焼きのコテとかあっても良かったのに。

トンデモJAPANでしたな。
まあでも、なんというか、好きなんやろなってのは感じたよw



●頑張るキアヌ・リーヴス
9月にDOGSTARのライブを見にいくと、人の良さそうなバンドマン・キアヌがいました。
そんなキアヌが殺しまくるw

最後の階段落ちも凄かったな。
あれ、途中からむしろ落ちにいってないか?てくらいコロコロしてたやん。
もはや、笑ってはいけない階段落ち。
めちゃ打ち身できそう。

銃を撃ち、補充するとこなんか好き。
ボロボロになりながら根気よく諦めずに闘うのすごかった。
幸薄そうな憂いが似合う。
つか、ほとんど喋らないw
あ、でも日本語話してた!
メイワクカケテスマナイ、やっけ。

ウィンストンやケインと名前を呼び合うのなんか好き。

でも、パリの凱旋門では車に轢かれ過ぎやし、あんなビルの上から落ちたのに下にある車でワンクッションあれば助かるの、死ななさすぎるやろってツッコミたくなるw

スーツが強すぎるってことやんねw


●ラスト
お墓をみたとき、ああ、やはり死んだのかぁと。
実は生きてましたなシーンもないのか、と。

でも、ジョン・ウィック物語としてはこれが一番綺麗な終わり方なのかも。

彼の1番の望みは、妻。
自由の身になって、妻のもとに旅立つというのは、彼にとって良い終着点なのかなぁ。
生きてても、多分また巻き込まれるし。。
で、ただ死ねばいいというのではなく(汚名を着せられたままとか、賞金稼ぎに殺されるとか、組織に縛られたままとかではダメ)、自由の身であることが重要で。

パラベラムのとき、ウィンストンに
「何者として死にたいか。
殺される時に最後に見るババヤガとしてか。
妻を愛し、妻に愛された男としてか。」
て言われてた。
解放された上で、妻を愛し、妻に愛された男として死ぬことができたと。

そして、ジョンも大量の殺人をしてきたわけで。
そこで、ちゃんとコンセクエンス〜報い〜を受けたというか。

最後、妻の名前を呟いて倒れたのは、ジーンとしてしまった。

なぜ死によって解放されるのではなく生きようとするのか、と言う問いに、妻を覚えていたいからみたいな返しをしたの、愛が深い〜〜て思った。
でも、ようやく解放されるのかなぁ。
寺院前のウィンストンの表情がなんとも言えなかった。

お墓の前で、キングは笑ってたから、もしかして生きてたりするのかなーという可能性は残したのかな。


あと、エンドロール後のシーン。
ここで一気にハッとなった。


まさに、コンセクエンス。。

娘のために望まない闘いを強いられてたのが、ようやく自由になったのに。
そして、ようやく娘に逢えるのに。。
花束持って、希望に溢れているのに。。

やはり彼も報いを受ける時がきたのか…と。

まあ、あんだけ強いし交わしてる可能性もあるけど。ただ、油断してるしなぁ。
アキラの腕をバッて掴むジョンがいても嬉しいけど。

この辺は、観てる人に判断を委ねるって感じなのだろうか。

いやー、報復するにしても娘に会った後にしてほしい。

でも、そうしたらまた報復の連鎖か。

てか、復讐・報復は虚しいものだなぁ。

ラストのラストに、もしかしたらこのシリーズの言いたいことかもしれない「復讐・報復の虚しさ悲しさ」を落としていった感じがした。
こういう余韻も悪くない。


キアヌのジョンはもう終わりなのかな。
スピンオフは色々あるみたい。

バレリーナとか。

あと、あの賞金稼ぎも物語出来そうやね。

でも、今回で一番希望したいスピンオフは、ジョンとコウジとケインの若い頃の物語!笑


とりあえず、ここまで広がったジョン・ウィック物語としてはキッチリ詰め込んで綺麗に終わらせたようなので満足した!

しかし、犬が殺されたってところから、こんな凄いことになるとはね。。。
いや、犬の命もすごくすごくすごーく大事なんだけど、それで自分もかつての友達含めて死にまくるというのもすごいなと。
しかも、1〜4まで、そんなに何年も時間経過してないはず…?

ギュッとしてて良かった!笑。
ゆかちん

ゆかちん