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ジョン・ウィック:コンセクエンスのsatoshiのレビュー・感想・評価

4.3
 愛犬の復讐から始まったジョン・ウィックの地獄巡りも、本作で遂に完結。本作ではジョンは世界各国を回り、いつもの肉体を酷使した限界アクションを繰り広げる。アクションはいつも通り撮影や殺陣の組み立て、そして車、銃火器など、あらゆるものを使用して、それらが最大限に映えるように工夫が凝らされ、大変面白い。特に映画史上最大の階段落ちには「まだやるの?」と少し引いた。CGに極力頼らない、カットも割らない、俳優の偽りのないアクションとして、本作は1つの臨界点だと思う。

 そしてこの「肉体の酷使」がジョンの「地獄めぐり」感にマッチしているなど、作品ともかみ合っている。キアヌ以外には、真田広之とドニー・イェンの立ち回りは流石で、息をもつかせぬ凄みがある。真田広之は序盤でいなくなるのが勿体ないくらいの存在感だし、ドニー・イェンは座頭市として、フィクション一歩手前とも言えるキャラ造形にちゃんとリアリティを与えているのが本当に凄い。

 アクションは大変面白いのだけど、その分、本筋のストーリーは弱いと感じた。というより、ストーリーがアクションを生み出すためのお膳立てにしか見えなかった。前からその傾向があったシリーズだけど、本作は「ジョンの旅の終焉」であり、よりドラマ面が強調されていたため、より気になってしまった。この点で本作は、『ミッション・インポッシブル デッドレコニング PARTⅠ』と似ている。主演が体を張るのも同じ。これは偶然なのかな。
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