なべ

ジョン・ウィック:コンセクエンスのなべのレビュー・感想・評価

4.0
 前作のチャプター3と同じく、日本公開があまりに遅くて、海外の4KUHDを手に入れてとっくに観てた。あいにく輸入盤には日本語は入ってないけど、ジョン・ウィックって基本戦ってるだけだから問題ない。てか今回のジョナサンは日本語喋ってるし。メイワク カケテ スマナイって。
 初日にIMAXの席を押さえたものの、コロナに感染。観るのがすっかり遅くなってしまった。
 正直、ここまでくるとストーリーなんかもうどうでもよくて(だって“史上最高の殺し屋をみんなして殺そうとする”だけだから)、この殺戮劇をどう終わらせるのかだけ気になってた。
 昨今の、細切れカットで荒々しさやスピード感をカサ増しする“なんとなくすごそう”なアクション映画(例えば007とか)にもの足りなさを感じていたこともある。ジョン・ウィックはそんなうそんこアクションとは一線を画す、ちゃんとしたアクション映画だから。近接戦闘をカットを割らずに引き絵で見せるなんて、よほどの自信がないとね。
 てなわけで、John Wick Chapter 4(そう、原題にはコンセクエンスなんてねむたいサブタイは付いてないよ!もちろん輸入盤のジャケットにも)。
 今回のゲストはついに真打登場!ぼくらの真田広之とドニー・イェンだ。アベンジャーズ、モータルコンバット、ブレット・トレインと、ハズレばっかり引いてた真田広之がついにアタリを。コンチネンタル・オーサカの支配人ながら組織より仲間を選ぶ日本人ってそりゃ真田広之でしょ!これは尊い。
 こちらとしてはジョンと背中合わせになって、
JW「ケイン、君とは戦いたくない。手を引けっ!」
島津「無駄だジョン。奴は娘を人質に取られている」
J「それは君だって…」
島津「娘はもうこちら側の人間だ」
なんて血みどろの中のくさめの共闘を観たかったんだけど、思いのほかあっさり。納刀の所作が侍風だったのはご愛嬌。きっと監督に猛烈にお願いされたのだろう。
 しかし肝心の娘がなあ。誰なんだよおまえ! 清野菜名とか戦隊ヒーローの女性枠の子たちとか、他にいくらでもいただろうに。いや、伊澤彩織本人で全然OKよ。あんな何がいいたいのかわからない雑な表情と謎の棒演技のせいで、ピンチの中でいらぬノイズを拾ってしまったよ。
 そんなモヤモヤを帳消しにしてくれるのがドニー・イェン。イップ・マンで宇宙最強となった男さ。そしてローグ・ワンでの盲目の戦う僧侶。作り手が求めているものがあからさま過ぎて、それはドニーに失礼だろ!と思っちゃうくらい。でもさすがド兄さん、ちゃんと違うキャラに仕上げてきたよ。腹回りにちょっとついた脂肪も引退してた殺し屋っぽくてリアルだ。いつもニヤけたツラでいやなやつ感を醸しつつ、影に日向にジョンを支えてくれるのな。ド兄さんのおかげでケインはいいキャラになったよね。彼がいたからこそ、チャプター4は2や3とは一味違う殺し屋バトルになった。
 さらに、新たな刺客として加わったMr.ノーバディ。長い話を要所要所でうまく展開させる裏回し的存在。前作のソフィアに引き続き、暗殺犬を従えてる強いんだか弱いんだかわからない狙撃型の殺し屋。が、タイミングを見る能力は抜群で、大御所の戦いのそばで強い印象を残す。
 
 いつのまにか自由のために追手と戦う話になって、随分切った張ったを繰り返してきたけど、さすがにそろそろ飽きてきた。
 アクションのアイディアは考え出せても、話自体がかなり煮詰まってきてる。ここらが潮時。
 てなわけで、ついに「決闘」って古の解決手段を見出すんだけど(早く教えてやれよ!)、その資格を得るために古巣ルスカ・ロマでいらぬ仕事を請け負ったり、性根の腐った侯爵の包囲網はますます激化したりで、3時間の長尺になっちゃった。
 もちろん手を変え品を変えいろんなアクションシーンを見せてくれるので、あっという間なんだけど、こちらの膀胱は結構根をあげてた。
 過酷な尿意との戦いに耐え切れず、エンドロール中に席を立つ人が多かったけど、ポストクレジットシーンがあるから注意して。まあ、みんな予想はついてると思うけど。
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