幽斎

ジョン・ウィック:コンセクエンスの幽斎のレビュー・感想・評価

5.0
【幽斎的2023ベストムービー総合1位!】
恒例のシリーズ時系列
2014年4.8 John Wick ガンアクションの新たな金字塔
2017年4.6 John Wick: Chapter 2 華麗なる二番煎じもアイデアの宝庫
2019年4.4 John Wick: Chapter 3 レビュー済、マンネリ?、何のことだ?(笑)
2023年5.0 John Wick: Chapter 4 本作、まだまだ続くよ!
2023年3.8 The Continental: From the World of John Wick 支配人のスピンオフ
2024年? Ballerina Ana de Armasでスピンオフ
2025年? Rina Sawayamaのスピンオフ
2025年? John Wick: Chapter 0 ジョン・ウィックの前日譜
2026年? John Wick: Chapter 5 本作の続編

私の好きなLance Reddickが3月17日心筋梗塞の為、自宅で死亡してる所を発見。本編で哀悼の意を捧げられるのは暗示なのか。どうぞ、安らかに。MOVIX京都で鑑賞。

ジョン・ウィックのルーツは、Christian Bale主演「リベリオン」。犬を守ると言うプロットも受け継いでるが「ガンカタ」拳銃を連射しながら合理的な近接格闘を行うが、ソレを「ガンフー」関節技的な徒手武術で距離感ゼロのアクションとして蘇らせた。特殊部隊直伝のガン捌きも凄い。ホルスター→ハンドガン→ドロウ→シューティング→リロード→リホルスター→トランジション。本作の銃器は全て実在するが、今回の目玉はドラゴンズブレスのショットガン、防弾チョッキすら姦通、火炎放射並みの破壊力で、上から目線シーンの近接は芸術の領域。リベリオンのハイライトは何度見ても面白い
www.youtube.com/watch?v=XM3BsAAO8JI&list=PLbSwABc69UpYSTOr62qubzoFfF-xPloPH&index=5

Keanu Reeves 59歳。私は顔や姿が生まれ変われるなら彼に成りたいが、ジョン・ウィック前の彼は、俳優としてスランプに陥る。「マトリックス」は映画に革命を齎したが、本来の彼は繊細な表現が出来る俳優「コンスタンティン」も過小評価で続編も決定したが、静かな佇まいが似合うからこそ、動へのアクションも映える。彼ほどハリウッド・スター気取り0%の役者も居ない。第一線にカムバック出来て本当に良かった。

Chad Stahelski監督は「マトリックス」アクション・シークエンス監督。プロットは日本の「ヤクザ」ギャングやマフィアは所詮は烏合の衆、己の損得勘定だけで動く。しかし、際立って組織化された悪の組織が日本の暴力団。故に「コンチネンタル」の厳しい上下関係や謎ルールは日本人には分り易い。1作目は特殊なカプセルを飲むと傷が治る。2作目は布一枚のスーツなのに防弾仕様。前作は犬が戦う戦闘犬と大都会で馬を走らせるとあんなにカッコ良いのか。今回は刀や弓がガンフーの代わり、更に座頭市まで(笑)。

前作「パラベラム」公開前から製作が決まり当初は2部構成でLions Gate は2021年5月21日公開とアナウンス。監督は何度もジョン・ウィックの最後は「死」でハッピーエンドは無いと公言。「彼がラストシーンで暗闇に消えるシーンを見たいかね?。多くの犠牲を払い安寧など訪れる訳が無い」。Ian McShane演じるウィンストンの運命と重なると含みも持たせた。だが、原案者Derek Kolstadと意見の相違が目立ち始め、彼はプロジェクトから去る。此の時点で多くのスピンオフも企画される。

しかし、Keanuはレビュー済「マトリックス レザレクションズ」への参加を決め、本作は後手に廻る。公開は2022年5月に延期、日本でロケをする筈がCOVIDでコンチネンタル大阪の国立美術館だけで、予定された大阪城のロケもキャンセル。Keanuは「とんこつラーメンが食べたい!」大いに悔しがる(笑)。2部構成は一本化され、本作はシリーズ最長169分、ソレでも初稿は225分。オープニングは「アラビアのロレンス」同じ場所。ヨルダンのアブドラ国王は彼らの為にヘリコプターまで用意。クライマックスのモチーフは「続・夕陽のガンマン」新たな人生と言う意味で夜明けに変更。

だが、Lions Gate はレビュー済「トップガン:マーヴェリック」にIMAXを占領される事を嫌い、更に2023年3月24日に延期。当初より2年遅れ。更に他のアジア国は4月公開、日本は最も遅い9月、北米では早々に配信もスタート、日本のポニーキャニオンの政治力の無さにウンザリ。お気付きだろうがKeanuの台詞は少なく単語も短い、一番長いのが日本語で「貴方と私は遠い昔に良い人生を過ごした、友よ」。他は殆ど「Yeah」で済ませる。此れはアクションに比重を置く為、Keanuへの負担を軽くする意味も有る。作品のインターバルも数週間だったが本作では8ヶ月後に伸ばされた事でも解る。

当初「ハガクレ」と言う邦題が付いた。私は少しばかり武士道に詳しいが葉隠とは、聞書を基にする肥前鍋島藩士、山本常朝が口述したモノで「武士道とは死ぬ事と見つけたり」日本人なら誰でも聞いた事有りますね?(笑)。死を要求するのではなく、覚悟を不断に持つ事で生死を超えた境地。武士として恥じる事無く生きよ、と言う教えを説いたモノで三島由紀夫も心酔。現代に生きるビジネスパースンにも人生の指南書としてお薦め。

プロダクションの話が本編同様長くて恐縮ですが、実は余り書く事が無い。今やハリウッドを代表するアクション大作ですが、中身はヤクザが組を辞める→駄目だお前は最高の殺し屋だ→勝手に抜けます→①結婚して平穏な日々、犬と共に→マフィアのバカ息子が車よこせ→ダメだ→車を盗み犬も殺す→復讐でロシアン・マフィア壊滅→②イタリアン・マフィアの血の契約を盾に殺しを引き受ける→全世界の殺し屋から狙われる→何とか逃げ切る→③コンチネンタルの掟を破り主席連合の粛清対象→そんなの知るかよ→④本作、しょうがない、元締めと直談判だ!。つまり、シリーズは世界規模のパワハラなんです(笑)。

トピックは間接的な相棒。ジョン・ウィックは孤独な戦いを描くのが大前提、徒党を組むのは掟破り。原案Derek Kolstadと意見が割れたのも此の部分、仲間が増えた方が脚本のバリエーションも増える、Keanuの肉体的負担も減らせる。中国人が大嫌いな私もDonnie Yenの演技は認めざる(笑)。犬とノーバディ(トラッカー)も最後は「義」を重んじる。真田広之は前作で登場する筈が「アベンジャーズ/エンドゲーム」出演の為、本作は罪滅ぼしで出演。逃げるだけの前作に対し、本作は正々堂々反撃。グラモン侯爵は義理を守らず勝手に掟を変える。日本のパワハラ社長と同じゴミクズ同然。

私は京都人ですが、重箱の隅を突く様でアレだがやっぱり気に為る「Japonica」学習帳じゃないよ。欧米人の好きな日本趣味と言う意味ですが、レビュー済「ブレット・トレイン」も酷いが、日本が好きだと言いながら詳しくは知らない。アレは全く以って日本では無く、力士のボディガードには目眩も。逆に考えると大阪コンチネンタルは欧米人の好きな日本の縮図。アレをコンセプトに観光にも是非役立てて欲しい、京都以外で(笑)。

日本と言えば衝撃のデビューを果たしたリナ・サワヤマ、新潟県出身の33歳。ケンブリッジ大学卒の才女、2017年リリースしたデビューEP「RINA」次世代を担う100人に選ばれた。演技は全くの素人だが監督が偶然YouTubeを見て決断。その曲は東京オリンピックの閉会式でも使われた。その共演の凄さで彼女の才能も伺える。本作のエンディング・テーマ「Eye For An Eye」も。今年、名古屋、大阪、東京でジャパンツアーも開催。因みにスタントパフォーマーは邦画「キングダム」伊澤彩織。
www.youtube.com/watch?v=GTDRg5G77x4
www.youtube.com/watch?v=Rbzlg80p5L8

「パラベラム」登場した暗殺者のバレリーナを皆大好きAna de Armasが演じるスピンオフ「Ballerina」2024年6月北米公開予定。更に若き日の支配人ウィンストンのスピンオフはAmazonで公開済。更にリナ・サワヤマのスピンオフ、更にジョン・ウィックの前日譜、続編もKeanuが「俺の足が動くまで頑張るよ」力強いメッセージ。エンドロール後には続編に繋がる伏線も有るが、今回の監督のカメオ出演はコンチネンタル大阪のゲスト、ジョンに頷いてる人。

Consequence、因果応報の結末。良い死は良い人生の後に来る、果たして悪い死なら?。

【ネタバレ】物語の核心に触れる考察へ移ります。自己責任でご覧下さい【閲覧注意!】

続編と言う事はジョンは死んでない事に為るが、ソレも実の所は分らない。監督はエンディングを5通り撮影、最初は死を謎に満ちた結末が選ばれたが試写で猛烈に批判され、本編のエンディングに収束。ウィンストンに「俺を家に連れて帰ってくれ」と頼むが、ラストは墓地のシーン。だが、バワリーは「死」に言及しなかった。ジョンが死んでシリーズが終わる事は間違いないが、貴方の解釈は?。

エンドロールの最後にアキラがケインを襲う直前でブラックアウトするが、最初のエディションでは殺す事に成功。だが、Keanuが「お喋りが過ぎる」とカット。決闘でケインを殺さず自分を犠牲に選んだのは、ケインの娘の為、殺し屋の2人より大きな存在、と言うジョンの願望の表れ。だから、ケインは死なない筈だが、コレも果たして?
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