島晃一

ジョン・ウィック:コンセクエンスの島晃一のレビュー・感想・評価

4.5
近年ますます映画とゲームは相互に影響し合っているように感じるが、FPS流行以降の臨場感とアクション性に負けずとも劣らない表現をなしえているのが『ジョン・ウィック』シリーズだ。ガン・フーと呼ばれるアクションは「No Where To Run」などの音楽との合わせ方、より荘厳な風景を含めさらにパワーアップ。また、部屋を移動しながら敵を倒していく様子を俯瞰で真上から映したショットは、まさにFPSの大会の実況・解説視点に切り替わるときを思い起こさせ興奮した。

それとは別に、今作の1番の見せ場はあの200段以上の階段落ちシーンだろう。チャド・スタエルスキ監督のインタビューによれば、今作ではシーシュポスの神話をジョン・ウィックに反映させたそうだ。神の怒りをかったシーシュポスは罰として太岩を頂上まで運ばなければならないが、岩はまた転がり落ちてしまうため、何度も押し上げなけれならない。自由を得るため、不条理な世界に、はたまた運命に反抗していくジョン・ウィックはまさにギリシャ神話のシーシュポスそのものだ。

ところで、映画の中のクラブシーンはそのリアリティのなさが、特にDJやクラバーから批判されることがしばしばある。しかし、今作のように神話性、儀式性を盛り上げるためのダンス、クラブの表現は、たとえ非現実的だとしても有効なのだと今作を見てあらためて思った。
島晃一

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