夜行列車に乗ったカリート

ジョン・ウィック:コンセクエンスの夜行列車に乗ったカリートのネタバレレビュー・内容・結末

1.8

このレビューはネタバレを含みます

殺し屋ジョン・ウィック第4作。
シリーズ集大成を意識して気合い入れて作ったんでしょうけど、それが徒になっている演出過剰作品。

組織の元締め「主席連合」に追われ、NYコンチネンタルホテルのウインストンにも裏切られた主人公ジョン・ウィック。怒りに燃え、復讐を果たそうと再び立ち上がるが果たしてどうなるか…というストーリー。

けっこう楽しみにしてたんですが、全然楽しめませんでした。

まず光の演出について。
登場人物・シーンごとに色合いを持たせた照明が使われていて、それを利用して映像を静止画の如く見せたりと、かなりの工夫が凝らされています。その効果は高く、全体が彩色された映像美あふれる内容に仕上がってました。
ですがこれには副作用があって、その光景は演出ありきの絵面で、実際には存在しない「飾られた世界」だと意識してしまう側面があります。全編がこの調子なのでフィクションっぽさに拍車が掛かってました。まぁ綺麗に撮りたかったのは分かりますが。

また、アクションについて。
主人公ジョンは拳銃と近接格闘の複合使い。相手を制し、多数を効率良く殺していくスタイルですが、本作ではちょっと動きがもっさりしているというか…1人を殺すのに時間が掛かりすぎているよう感じます。一対多では相手を数秒で処理しなければなりませんが、敵がアーマーとか例のスーツを着てるもんだから、打撃数が多くなっていて、マウントを取ったりヌンチャクでぶっ叩いたりと、コミカルなアクションになってます。
敵の装備とジョンの戦術が、明らかに噛み合ってないんですよ。それを流れでカバーしようとしていて、乱戦でごちゃごちゃさせたり、一定の敵を倒すまで次の敵が待っちゃってます。

あとやっぱりあのスーツ、この際弾丸の衝撃うんぬんはいいとして、ジャケットの裾で無理やり顔を守るあの姿…、あれには面食らいました。
子供の鉄砲遊びにも似た感覚。「俺これで防御してるから効かないもんねーっ!」を彷彿とさせる。あれ…?相手って本物の銃だっけ?

脚本も好きになれなかったです。
ジョンの原動力ですが、本作冒頭では怒りに燃え「奴らを全員殺す!!」と息巻いているんですが、周囲に「それは無理だよ」と言われ、「え…じゃ…どうしよう…」という展開に。
ジョンは妻の愛と共に、安らかな生活を送ることが最も重要なことだったんでしょ。その軸が脅かされたからここまで来ちゃったわけで…。今まで全然出てこなかった侯爵1人殺したくらいで、安らかになる程度の志だったんなら、もっと前にブレーキ効いたんじゃないでしょうか。あんなにルール破ってきた男が、またルールに従って戦うのもなんだかなぁ。
旧友にも迷惑かけまくってるし、芯が無さすぎだろ…と思ってしまう。
主テーマってなんだっけ問題発生。

まぁ他にも言い出したらキリがないくらい色々ある作品ですが、総じて言えるのは演出・脚本含めて、全部がお芝居に見えるということだと思います。こういった垢抜けたアクション映画だと、なおさらそれが冗談っぽく目立ちました。

久々に、見ていて早く終らないかなと思った映画。このシリーズ、アクション凄い好きだったので残念でなりません。

ジョン「メイワクカケテ、スマナイ…」