寝るのだいじ

ただ悪より救いたまえの寝るのだいじのネタバレレビュー・内容・結末

ただ悪より救いたまえ(2019年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

アクションシーンとストーリー構成、カメラアングルがすごく良かった。
CGなどの無理くり作った感も全く無く、登場人物それぞれの感情が理解できるような脚本家で、充実も理解しやすさも両立していた。

殺し屋から引退しようとしていた在日おじさんが今後を考えていた折りに、在韓の元恋人(?)が金持ちへの罠の投資話に引っ掛かり、元恋人との間の娘を反社会的勢力から奪還する話。
タイで女性として生きるお兄さんの助けにより、おじさんは身を呈して娘を救う。
娘は韓国に戻るとまた危険な目に遭うし、お兄さんは韓国に子供はいるがトランス女性であることを隠しているので、お兄さんと娘と二人きりの新しい家族生活をパナマで始める。

肉弾戦も刃物の音もバリエーションがあり、リアリティに富んでいて、見入ってしまう。ハイスピードにアクションの連続だが、その合間にもスローがあったり会話があるので、殺し合いの中にもドラマを感じる。
母に遭いたかった娘、子供に遭いたいがトランス女性が生きづらい韓国に戻れないお兄さん、お互い「相手は生きているのに会えない寂しさ」を埋め合って幸せに暮らしてほしい。
そんな余韻を、これまでの展開の緩急と音楽で演出されていて、とてもセンスが良いと感じた。

同じ子供の臓器でも、日本人と韓国人の臓器がブランド化されていた。
あと人身売買や臓器の為の子供拉致の拠点が、何かの製造工場というのが、煩くて大きくて人の往来も多く、隠しやすさで理に適っているなと勉強になった。