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マイ・ストーリーのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

マイ・ストーリー(2020年製作の映画)
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国際女性デーにパワフルな女性の映画を観ました。ミシェル・オバマ氏が自伝のプロモーションの一環で全米を一年かけて周り、家族や人々と直接話しあった姿を追ったドキュメンタリー。

雲の上の人だから私とは接点等ないだろうと思っていたけれど、飾らない等身大の女性の生き方考え方に共感し、力をもらいました。

米国初の非白人の大統領が誕生するまでの、ミシェルさんの「考えてもいなかった」「内助の功」の時代を自身の中で消化し、自分の物語を自分でつくっていくために必要な振り返りだったのだと感じました。

そもそも成績優秀で飛び級、名門プリンストン大学、ハーバード大学ロースクールで法務博士、弁護士という最強の肩書きをもち、法律事務所では新人の夫バラクのメンターであったミシェルには、バラクの陰に居る必要も内助の功も考えられなかったわけです。

オバマ氏の強さに引っ張られないように、自分が自分であるためにオバマ氏との距離を考えた時期もあり、自分が主人公の自分の道を歩こうと思っていたミシェル。

ミシェルは子供を授かった時から、「我」を一旦引き出しに仕舞い、家族のマネージャーに徹します。その後はホワイトハウスでファーストレディとしての良妻と、子供たちに良い経験と教育を与えたい賢母となり、地位に傲ることを決してしない、社会の本質を見極める目を市井の人として磨いていきます。まさに政治家の視点だなと思いました。世の中を俯瞰し、市井の人の視点を大切にする。人の声を聴く。人々に共感する。人々を勇気づける。

等身大のミシェルは女性なら一度は考え立ち止まり、悩んだりする思いを自分の言葉で正直に話し、悩める女性たち一人一人と話し合い、励ましていました。

私が最も共感したところは、自分を冷静に捉える強さです。我の強さから芯の強さに変わっていこうとするミシェルの再編を感じました。人々と率直に話すことを通して、互いにエムパワーしあうこと。自分の存在を認めてくれる人がいて、自分の力に気付き、自信がつき、前向きなアクションにつながる、また自分もそうして接していく。好循環です。

実にアメリカらしい。勇気を持って正直に自分を開示し、率直な言葉で語る。相手の話を聴き、相手をしっかり受け止め、相手の良い点隠れている美点を見つけ、アクションを起こすようにつなげる。前に進め、です。

マイストーリーは著書のタイトルでもあります。今の自分を肯定するためには過去を否定しないこと。前に進めないとき、後ろ向きな時に、再度観たいと思いました。
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