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ザ・ファイブ・ブラッズのTLsのレビュー・感想・評価

ザ・ファイブ・ブラッズ(2020年製作の映画)
3.0
凄い一方通行でチグハグした印象を受けた。アメリカ人帰還兵を再度ベトナムに訪問させることによってアメリカがベトナムという国に対して持つ罪を意識させたいのか、汚れ仕事ばかりさせられてきた人種として主人公に焦点を当てたいのか、この作品から何を汲み取ればよいのか正直わからなかった。

ベトナム戦争の影響が発展した現在も強く残っているということは十分に伝わる。帰ぼ兵たちは今もなおPTSDに苦しんでいることもわかる。それと同時にこれまでの暴動の映像が流れ、黒人が差別と戦ってきた歴史を見せられる。これに加えて、彼ら帰還兵の個人的なドラマがあり最後は彼らにスポットが当たるエンディングになった。ここで、ベトナム戦争がもたらしたアメリカの罪という冒頭から描かれた物が置き去りになっているような気がして映画自体がしっくりとこなかった。

一応フランス人の金持ちがいるのだが、結局ベトナム人の武装集団と銃撃戦をしたりなど最後は帰還兵たちをヒロイックに描いていたのがしっくりこない大きな原因だったと思う。冒頭で問題を提示しながらも何もそれに対して答えを出さない姿勢はよくない。例えその答えが間違いであっても提示する以上は自分なり考えてを教えてほしい。結果としてこれらの要素を映画を面白くするための要素に使っている印象がぬぐえなかった。

音楽や映像はかなりよかった。回想シーンの切り替えでアス比を変えるなどといった工夫もよかったと思う。特殊効果も結構作り混んでいるので映画として決してつまらなくはなかった。

「トリプル・フロンティア」や「スリー・キングス」といった映画が好きなので、この映画も結構期待していたがジャンルと題材の重さが釣り合っていなかった。もう少しプラスなことを書きたいが思いつかないのでここで終わりました。
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