えそじま

健康でさえあればのえそじまのレビュー・感想・評価

健康でさえあれば(1966年製作の映画)
4.0
再編集版での初公開。4つのパートからなる短編集のようなものだが、登場人物が微妙に繋がっている節もある。共同脚本はあのカリエールだ。その名と奇想のつながりで『自由の幻想(1974)』を彷彿させるも、エテックスのそれはもっと現実のスケッチに近い。人の日常的な所作に浮かぶ滑稽な動きをよくよく観察しているんだろうなと感心した。不条理に振り回される人の焦燥や、もっと身近な奇妙な動きのオモロさは現在の人間観察にも通ずるからだ。

なお本作、設計的にもパート1の『不眠症』でドライヤー『吸血鬼(1932)』の改悪じゃないかと少し不安になりつつも、次のパートの『シネマトグラフ』から表題作の『健康でさえあれば』、最後の『もう森へなんか行かない』と進むにつれ、ブニュエルとキートンとタチが混然一体となって押し寄せてくるようなオモロいつくりになっている。
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