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グローリーのmaverickのレビュー・感想・評価

グローリー(1989年製作の映画)
4.3
1989年のアメリカ映画。アメリカ南北戦争において実在したアメリカ合衆国初の黒人部隊を描く物語。出演は、マシュー・ブロデリック、モーガン・フリーマン、デンゼル・ワシントン。


南北戦争における北軍の勝利に多大なる貢献をしたとされる、黒人部隊の第54マサチューセッツ義勇歩兵連隊。彼らが英雄として称えられるまでに受けた数多の困難をうかがい知ることが出来る。人間として扱われない黒人たちの境遇には胸が痛む。そんな中で徐々に育まれる白人の隊長との絆が感動的であり、同じ人間として相手を認めることがいかに大切かを痛感する。差別や偏見、人種問題について学ぶのに最良のテキストとなる作品だ。

自ら志願して戦地に赴く者の気持ちを理解するのは難しい。だが本作において、彼ら黒人が戦う理由というのはすんなり理解が出来た。この戦いは尊厳のためのものなのだと。我々は白人と同様の兵士だと知らしめるために戦う。俺たちは家畜じゃない、人間なんだと。戦いにかける彼らの信念が強烈に伝わってきた。命をかけて戦う理由が彼らにはある。その思いの強さが北軍の勝利に結びついたのだと感じた。

黒人部隊の兵士らはそれぞれに個性的で強烈な印象を残す。その中でも特に目を引くのが、青臭い反抗的な若者を演じたデンゼル・ワシントン。彼は本作でアカデミー助演男優賞を受賞している。目で訴えかける迫真の演技は鳥肌もの。鞭で打たれるシーンの気迫は凄まじかった。皆の前で気持ちを吐き出すシーンも印象的。彼の存在が、本作を傑作に昇華させたといって間違いない。


冒頭の北軍のぐだぐだっぷりからの、ラストの対比である。
胸を打つ熱い戦争映画であった。
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