半兵衛

制服肉奴隷の半兵衛のレビュー・感想・評価

制服肉奴隷(1985年製作の映画)
4.3
学校はおろか私生活でも継母に苛められる主人公の空想癖のある女子高校生、そんな彼女が現実で唯一癒されるのが尊敬している女教師と一緒にいるとき。しかし女教師の変態的な一面を知ったことをきっかけ自分の内に秘めていた性の欲求を暴走させ、彼女のことを気に掛けている同級生の男の子、彼女を苛めていた同級生や継母を超えた存在になっていく。これぞロマンポルノでしかなし得ないガラスの靴を捨てて性で自分に群がる者を貪り、のしあがっていくシンデレラストーリー。

冒頭をはじめ、空想にひたる彼女がトイレで一人過ごす姿にきっと学校内でいじめあるいはカースト的な屈辱を受けた人間なら共感を覚えるはず。そして主役を演じる望月真美の、幸薄そうないかにも苛められそうな顔立ちがこの映画にリアルな感覚をもたらす。だからこそ、現実を知り自分の空想を捨てて現実の肉欲に走る彼女の強靭な姿にある種のカタルシスを覚えてしまう。

すずきじゅんいち監督の生々しいエロ演出も見事で、汗や血、腋、汗といった生々しい液体や匂いがラストの望月真美と下元史朗の絡みに結実していく。あと目覚まし時計やチャイムなど、不意に鳴る音が世界の豹変を感じさせる演出も印象に残る。それとモノローグの使い方が一々決まっていて、「シンデレラは王子さまを食べ過ぎて下痢になりました、汚ーい」は空想と現実の狭間で揺れる主人公の心情をよく表した名台詞。

超越した存在と化した彼女が最高にカッコいい姿で終わるエンディングに痺れる、それと「おしまい」という台詞で映画が終わるのも性の童話らしいこの映画にふさわしい。

舞台となる学校が海が見える場所にあるのが他の学校ものにはない妙な解放感を感じる。
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