菩薩

盗むひとの菩薩のレビュー・感想・評価

盗むひと(1966年製作の映画)
3.9
万引き家族ならぬ強奪母ちゃんだったし冒頭からめっちゃデュラスでこれもうデュラスの映画じゃんって思ってたら無料配布の豪華リーフレットに「盗むひととはデュラスのことでもある」的な事が書いてあってマジですまんとなった。幼子をめぐる母性と父性の争い、法的な後ろ盾もない育ての父を生物学上の母は大胆にも追い詰めていき、父は窮鼠猫を噛むではないが男根の象徴だと言わんばかりに煙突に登る。中絶が非合法な時代に産まざるを得ず、手放さざるを得なかった母親、それでも6年経っているともあって世間の風当たりは強い。ピコリはピコリで愛するロミシュナを擁護したいと思いながらも、愛と正しさと男性らしさとの狭間でもがいていく、「愛しているが殺すことも出来る」はパンチライン過ぎる。子供の意思は最後まで不在のまま、メディアすら巻き込んだすったもんだはなんとか幕を閉じる、当然の様に生物学的父の存在も明かされぬままに。
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