けーすけ

哀愁しんでれらのけーすけのレビュー・感想・評価

哀愁しんでれら(2021年製作の映画)
3.8
小春(土屋太鳳)は家族たちと平凡な暮らしを送っていた。そんなある日、祖父が風呂場で倒れた。病院へ連れて行く途中で車は事故を起こし、火の不始末で実家の自転車屋が火事になり、彼氏の浮気現場を目撃するという怒涛の不幸に襲われる。そんな不幸のどん底にいた時に、開業医の泉澤大悟(田中圭)の命を助けた事がきっかけで、あっという間に二人は結婚をする事に。大悟の前妻との間にいた娘のヒカリ(COCO)と共に3人での生活が始まった。順風満帆な生活だったが徐々に思いもよらない出来事が起こり始める・・・








序盤はコメディタッチで、小春に次々と不幸が襲うシーンが描かれます。車の事故や家の火事、彼氏の浮気現場に遭遇(しかも浮気相手の女は職場の先輩!笑)。
そんなところに、酔っぱらってしまって踏切内で倒れていた泉澤大悟をたまたま救助した事で彼女の人生は大きく変わっていきます。

ここまでが映画始まってから10分くらいですかね。怒涛の展開の導入部にワクワクさせられました。




シンデレラストーリーというと、それまでイジメや貧しい暮らしをしていた女性がお金持ちでかっこいい王子様と出会って付き合ったり、結婚してハッピーエンド☆というイメージですが、本作では「足のサイズしか知らないような王子様と結婚したシンデレラは、本当に幸せになったのか?」と、結婚のその後を描くという切り口の“裏おとぎ話サスペンス”との事。


大悟と出会って一か月ほどでのスピード婚、彼の娘も小春に懐いており、住居は超豪邸!(まるで映画『パラサイト』のような広い家。地下室は無かったぽいですが笑)。

当初は順風満帆な生活のように見えるのですが、徐々に歪みが生まれ不穏な空気が充満していき、物語は思ってもいない展開となり驚きの結末を見せます。



“何かが起きる”という事だけ頭に入れて観ていてると、大悟の一般とは少し違った価値観が徐々に垣間見え、娘のヒカリの様子も何やらおかしい、しかし物語の先が読めない、、、と胃のあたりにジワジワとした緊張と違和感が生まれるのがなんとも不気味な映画体験となりました。


ラストはぶっちゃけ現実的にはありえないでしょうが、もし実際にあったら日本どころか世界に轟くであろう衝撃的な内容で「うわー!それやっちゃうかー!!」と、かなりズドーンと胸にのしかかってきました。賛否は分かれそう。
そして、あのあとの“家族3人”がどうなったのか、続きを考えさせられる余韻あるエンディングでした。





小春を演じた土屋太鳳。当初は本作のオファーされた理由が自身の中で見いだせず、3度も断った末に出演を決めたそうですが、圧巻のハマり役でした。あの演技は太鳳ちゃん意外は想像できないですね。


大悟役の田中圭もハマり役でしょう。爽やかで論理的に会話もできる優秀な男を好演。モラハラチックな面が現れてからの狂気を抱えた演技が素晴らしかったです。あと、個人的に声がめっちゃ好みと分かりました。


娘のヒカリを演じた女の子はCOCOという子で、本作での芝居が初めてだとか。初めてとは信じられないくらいにあどけなさや、凶暴さ、異常性を演じ分けておりました。イライラさせられる演技にこっちまでキレそうになるほどで、ほんと凄かった。


小春の妹・千夏役に僕の大好きな山田杏奈が登場。出演時間は多くはなかったですけど、女子高生のかわいらしい演技にメロメロでございました。



予告編映像からは全然想像できなかったお話だったのも好ポイント。ダークでちょいホラー、面白かったです。

そういや小春に振られた元彼ヒロムの謝罪ソング、聞きたかったな・・・笑



2021/02/05(金) T・ジョイPRINCE 品川 シアター3 09:50回にて鑑賞。G-12
[2021-016]
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