KARIN

哀愁しんでれらのKARINのレビュー・感想・評価

哀愁しんでれら(2021年製作の映画)
3.2
「オバケになっちゃえばオバケは怖くないぞ」

私は幸せになれるのかな…こういう一言から始まるシンデレラストーリーは多いけれど、シンデレラさん。「あなたにとって」の幸せは何か、しっかり考えたことはありますか?

…形式上の「しあわせ」に翻弄され、狂ってしまった家族の話。
ううう〜。全ての狂気が親としての愛からはじまってる話なだけに、いろいろ考えさせられるなあ。

我が子をそのまま見つめて、受け入れる。「親」とか「子」でなく、そのまま。これが当たり前に思えていかに難しいか。「親ならこうしなくちゃ」「うちの子はこうなってもらわないといけない」そんな「幸せ」の強迫観念が人を、家族を追い詰める。

観てるほうも「この人たちはどこで間違えたんだろう?」みたいに考えてしまうほどに、意味を含んだ台詞の数々。

綺麗な音楽にあわせてちょっとずつ波長が狂っていく物語の進み方が秀逸でした。

かといって情に訴えてくることはなく、一歩引いたような、客観的な演出が目立ちました。役者同士の掛け合いもドライな印象になっていたのが少し気になった。
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