れおん

哀愁しんでれらのれおんのレビュー・感想・評価

哀愁しんでれら(2021年製作の映画)
4.4
あるところに幸せを夢見る一人の女の子がおりました。出会ったのは、お医者様とその一人娘、ヒカリ。母親に捨てられた過去から、いつの日にか良き母親になることを夢見ていた…

和製スタンリー・キューブリック作品の誕生。終始、哀愁が漂い、煩わしさと不気味さがシンデレラに襲いかかる。彼女と共に、観客も不安に陥り、彼女と共に、人生に絶望する。

この狂気的な世界観を生み出すためには、"映画"のどの要素も完璧に満たされなければならない。ストーリーのベースとなる脚本、観客を魅了するキャラクター性、感情を"拡張"させるための撮影技法、音楽の使い方、そして、何より時間的空間の工夫。恋愛映画/青春映画でパッとしなかった渡部亮平監督が、サイケを彷彿とさせるサタイア的作品を、完璧にまで仕上げて世に放った。

気持ち悪くなった。
数日間、映画特有の虚無の世界に連れて行かれた。
人間が生きるために不可欠な理性ではどうすることもできない欲、”生存本能”が爆発した人間による、人間に対する復讐劇。
救いようがない。
れおん

れおん