どん底から一発逆転、幸せを手に入れたはずのシンデレラが、夢のレールから外れまくって思いもよらない所までゆくお話です。テンポも良いし、ブラックユーモアもあるし、ララランドなども引用したりして、胸糞ストーリーながらも良きエンタメ作品だと思います。
これは愛着障害というのでしょうか。夫婦どちらも、実母への想いが強すぎて、大人として子供を導くことも守ることも、なんなら愛することもできず、ひたすら言い訳のように愛しているふりを、つまり、理想の親像を演じようとするあたり、もの悲しい話でもありました。
そんな悲しみストーリーを盛り立てる子役がまた上手かった。愛らしさとふてぶてしさを兼ねそろえた絶妙なビジュアル。そして、ふざけているときの自然さと、真顔のときの不気味さとの落差ふくめて、すべてが主人公の体験する不安定な世界そのものでした。
他人にあびせかけていた罵倒がすべて伏線として回収される流れも上手いことまとまっていました。
ただ、父親の転職先も伏線だとしたらブラック過ぎて笑います。
