しちれゆ

ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記憶のしちれゆのレビュー・感想・評価

3.7
本作は戦争の悲惨さを訴えるというより日本の軍国主義教育・皇民化教育を批判する映画。沖縄に上陸した米軍兵士は54万8千人、対して日本兵(14歳以上は徴用)は11万。敗色濃厚な日本陸軍兵士は守るべき沖縄の人々を壕から追い出し食べ物を奪い自死を強要した。沖縄で起きたのは″集団自決″ではなく″集団強制死″だったというのがこの映画の主題である。
終わり近くには終戦後 米兵が日本人の赤ちゃんを抱っこし幼い子供にものを食べさせ身体を拭いてやり怪我の手当をする様子がここぞと写し出され「米兵はこんなに優しいのに本土の日本兵はクソ」的な偏りを若干感じる。
宝田明のナレーションが感情的すぎて芝居がかっているのが逆効果なのと、当時を証言するお年寄りたちの言葉が聞き取りにくかったのが難点。
それにしても米軍が沖縄に上陸する時、船に戦車のみならずトラック・クレーン・ブルドーザーまで積んできたというのがすごい。もちろん山のような食糧と医療品も。
この映画には米軍が記録した映像が使われている。語り部の人々も年老いて亡くなっている今、この貴重な映像をたくさんの人に見てほしいと思う。
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