むらむら

『犬鳴村』恐怖回避ばーじょん 劇場版のむらむらのレビュー・感想・評価

5.0
SNOWとLINEスタンプでホラー映画を盛ってみたら、こんなになりました、という作品。

「犬鳴村」(13.7億円)や「ミッドサマー」(6.7億円)、先輩格の中田秀夫による「スマホを落としただけなのに」(11.4億円)もヒットしていて、俺的には肩身の狭かったホラー映画が市民権を得たようで、俺は何も関わっていないのに胸を張りたくなる昨今。ホラーファンを広げようと涙ぐましい努力してくれるところに、まず敬意を表したい。

この「犬鳴村 恐怖回避ばーじょん」、ホラー映画の敷居を下げようと、追加の映像や音楽、イラスト屋などを使って、低予算ながら中々凝った演出をして怖さを緩和している。俺的には「キター!」みたいな2ch式弾幕があってもいいんじゃないか、とか、追加で無意味なヌードシーンを4,5人分、入れてくれれば完璧なのにな、とも感じるが、心意気というか、この企画を通してくれただけでも感謝です。ホラー警察みたいなのにジャンルが乗っ取られたくないもんね。

ホラー映画としての評価なんだけど、「恐怖回避ばーじょん」じゃなくても、犬鳴村の人たち、あんまり怖くない。

なんつーか、犬鳴村の人たち、リモートワークに疲れて新宿に出てきた人々(俺)みたいな感じで、「久しぶりにシャバに出てきたー」的なワクワク感あって、親近感湧くんだよね。トンネルの周りだけウロウロしてんのかと思ったら、麓の病院にまで大挙して押し寄せてくるし。街なかに出没する人馴れしたイノシシみたいでカワイイ。特に、一人てきめんに可愛くてダンスも上手い村民(摩耶)もいるので、推しメン探したい人はその視点で犬鳴村を観察しよう。

途中、主人公の女医が、お爺ちゃんと会話する場面で

女医「おそらく、これには、とある村が関係していると思うの」
爺「ん? なんじゃ、その村というのは」
女医「犬鳴村」
爺「(発狂して)何ぃぃぃ! なんでその名前を知っておるんじゃあああ!」

というシーンがるんだけど、いやいや、作品中でも小学生が社会科研究の題材にするくらい有名な場所なんだけど? YouTuber、大挙して押し寄せてんだけど? お爺ちゃん、世間知らず過ぎるだろ……。


俺、福岡出身なのもあって、犬鳴峠には、よく親の車でドライブに連れていってもらってた。悲惨な事件もあった犬鳴峠ではあるものの、こうやって有名になって、ちょっとでも観光客が聖地巡礼で訪れてくれれば嬉しいです。

あと、たぶん殆どの人には無意味な情報だと思うけど、遺影のオッサンがどこかで観た顔だなー、と思ってエンドロールみたら、日本の特殊造形第一人者、西村喜廣氏だったことを備忘録として残しておきたい。

「犬鳴村」という割に、予算の都合なのか犬が全くと言っていいほど出てこない作品ですが、「恐怖回避ばーじょん」には、冒頭10分くらいで「101匹ワンちゃん」程度には犬(イラストですが……)がゾロゾロと出てきてくれます。オリジナル版でそこが不満だった犬マニアは、「恐怖回避ばーじょん」も観てみましょう! DJ INUNAKIも出るよ!
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