みーちゃん

アオラレのみーちゃんのレビュー・感想・評価

アオラレ(2020年製作の映画)
2.0
テレビ映画として見るなら普通。オープニングは、現代人が抱えるストレスや格差等の問題と、犯罪の関係を切り口にした社会派ドラマ風な映像とナレーション。でも、なんだか説教くさくて、早くも嫌な予感がする。だって、そんな事は説明しなくても皆んな知ってる。

ただ、ラッセルクロウ VS レイチェルとカイル親子だけにフォーカスした時には、おもしろかった。

特にレイチェルが抱える私的なトラブルや、それ起因の焦りやイライラが、この事件に巻き込まれるきっかけになるところや、少し性格が悪いところもリアルで良かった。そして親子で力を合わせてサバイブすることが、今後の生き方や関係性の変化を示唆していて気持ち良かった。

一方でラッセルクロウの人物描写は、せっかくなのに中途半端で勿体ない(ラッセルクロウじゃなくてトム・クーパだけど)。序盤の放火のシークエンスだけで、彼の思考回路は観客に伝わるし、"激突"のような謎の人物に仕立てるのはもう無理だから、いっそ犯行プロセスの細かい描写はやめて、或いは、描くなら弁護士や弟の件は電話越しに想像させるに留めて、私だったら、その尺を使い、彼の日常を少しだけ挿入する。

例えば、部屋で一人、朝からビールや大量のチーズバーガーを暴飲暴食し続けている、みたいな場面。そして、そんな自分の姿と理想とのギャップに、怒ったり笑ったりしているところ。それなら今のラッセルクロウにしか表現できないし、個人的にも観てみたい。説得力があると同時に、自滅の入り口と狂気が際立つ名シーンになると思う。