楽しかった〜!
ラッセルクロウさんの大暴れが痛快な作品。いや痛快か?
いうほど快くはないんですけど、とにかく主人公(と言っていいのか? シングルマザーの美容師の人)がひどい目に遭いまくるのを応援するのが楽しいお話でした。
アオラレ、というのはおそらく「煽り運転」に関連したタイトルだと思うんですけど、本作中において他者の車を煽るのは、なんとただひとり主人公のみ。
それも本当に最悪というか、
「常習的な寝坊による遅刻、そのせいで一番大きな顧客を失うばかりか息子まで巻き込んで、そのイライラを渋滞のせいにしての八つ当たりクラクション」
という、わりと擁護のしようのない野蛮っぷり。
煽られた側のラッセルクロウさんは、でも冷静に大人の対応で済ませようとするんですけど、主人公は苛立ちに任せてそれを突っぱねる……というところから物語が始まります。
めちゃくちゃやるラッセウクロウさんが本当に怖いはずなのに、その怖さが全部頼もしさに変換されてしまうので、見ていて本当にワクワクしました。
いいぞー! やけくそ皆殺しおじさん最高ー! もっとやれー!
暴走状態に見えて冷静なところも好きです。
ただ怒りに任せて危害を加えようとするのではなく、手の込んだ効果的な方法で主人公に復讐するところ。
彼は何も失うもののない、いわゆる「無敵の人」なんですけど、ただのやけくそややぶれかぶれではなく、〝必要があって行われる凶行〟という感じがしてとても素敵。
例えば弁護士のアンディなんかがわかりやすいんですけど、わざわざ周囲の人間を狙うのは、主人公への加害であると同時に社会階層そのものへの報復のような側面もあるわけですよね……悲しい……。
凶悪なのにクレバーな暴れっぷりが心地よい怪作でした。