夜ノ砂

BECKY ベッキーの夜ノ砂のレビュー・感想・評価

BECKY ベッキー(2020年製作の映画)
3.0
主人公ベッキーのすさまじい怒りとあらわになる凶暴性は、加減というものを知らないティーンの持つヤバさが想像以上に溢れている。静かな別荘地で繰り広げられる“一人ゲリラ戦“。大人が思いつかないハンドメイドでアスレチックな攻撃により血生臭くて無慈悲な結果をもたらし、「模倣厳禁」の立て札を置いておきたくなるほど倫理観が軽く吹き飛んでいる。

ただ、その割には緊張感があまりなく、胸糞悪さもほとんどなく、震撼させられることがなかった。主人公の行動がもたらす結果のえぐさに見合うスリルが全く足りていないのだ。

復讐に至る経緯である父親が人質に取られる展開と演出のマイルドさ、なぜか凶悪一辺倒ではない敵グループの謎な行動原理。

ベッキーの特異性を際立たせるためとはいえ、結局グロテスクな肉体損壊表現に頼りきった作品という印象を禁じ得ない。

敵グループの謎も(示唆はされるが)最後まで明かされずすっきりしなかった。
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