メインの登場人物が5人だけでありながら派手さはないけど吸血鬼映画に仕立て上げる池島監督や脚本の五代響子のテクニックに感服する佳作。吸血鬼(今作では女性が吸血鬼)が血を吸う姿をエロチックに描き、肝心のエロシーンも含めエロ映画だからこそ成立できる妖艶な世界観が全編にわたり堪能できる。都会の闇を切り取るスタイリッシュなカメラも○。

でもだからこそ途中で挿入される唐突なホモシーンの数々に違和感が、ピンク映画を専門の映画館で見に来たお客さんが喜ぶ趣向なのはわかるけれど純粋に鑑賞しに来た人にとっては誰得に思える映像に。あと話のオチに至る流れがあまりにもテンプレすぎて少し飽きるところも。

出てくる役者陣はいずれも好演しているが、なかでも恋に落ちた妹の吸血鬼と主人公の関係を叩き壊す極悪な女吸血鬼を演じる吉行由実と佐藤慶を思わせる渋い刑事を演じる佐野和宏が光る。

ラストのあれは残酷なスプラッター作品を何本か見たつもりの私でも本当に衝撃を受けた、映倫がカットを要請して妥協案として白黒にしたのも納得。

かなり最初の段階からオチに向かって一直線の展開に退屈してしまった。最後のスプラッター描写は凄まじく、冗談じゃなく血の気が引いた。@ラピュタ阿佐ヶ谷