Tラモーン

友へ チングのTラモーンのレビュー・感想・評価

友へ チング(2001年製作の映画)
3.7
一昔前の名作韓国映画にトライ。


韓国激動の1970年代から1990年代にかけての物語。ケンカが強く情に厚いジュンソク(ユ・オソン)、ケンカっぱやいが憎めないキャラのドンス(チャン・ドンゴン)、優等生のサンテク(ソ・テファ)、お調子者のジュンホ(チョン・ウンテク)の4人組は小学生からの付き合い。中学では別々の学校に通ったが、高校で再び同級となりつるんでいた。ところが暴力事件でジュンソクとドンスが退学、ジュンホも転校となり離れ離れに。数年後、この事件をきっかけに堕落していったジュンソクとドンスはヤクザとなり、対立関係となるー。


若かりしころのチャン・ドンゴンがとにかくギラっとしててカッコいい。対してユ・オソンは初めて観たけど、情の厚さが人柄に滲み出るような役者だなと感じた。

父親がヤクザである故に、ヤクザ以外の方法で立ち上がる方法を知らなかったジュンソク。
葬儀屋である父親に誇りが持てず、堕落から立ち上がるためヤクザの道を選んでしまったドンス。
2人が訣別を交わす、ジュンソクの父親の葬儀のあと、しゃがみ込んでタバコを吸うシーンがとてもよかった。ドンスはこれから自分のボスになる人間が汚いチンピラであることも、ジュンソクと対立関係となることも全部覚悟の上だったんだろう。あっさりとした握手を交わして暗闇に消えていく背中は、もうそこでお別れだったんだろうな。

"葬式の準備をありがとう"
"親父に言ってくれ"

その一方でジュンソクはいつまでも友人を大切にするタイプだから、鑑賞後振り返ってもそのシーンの切なさが増すよね。
薬物中毒の自分を励ましてくれたサンテクやジュンホをいつまでも大切にするのも、ヤクザもカタギも関係なく友人を大切にする彼の情の深さが滲む。

"友達同士謝ることはない"

結局ジュンソクはドンスのプライドを守るためにあの証言をしたのかな。ドンスを助けられなかった責任感なのか。

"ヤクザはカッコよくなくちゃいけないんだ"

最後に再び小学生のころの回想に戻ってからの台詞がかなり切なかった。子どものころはしがらみも、裏切りも、世間体もなくただ4人で仲良くしていられたのに。

"俺たち遠くに来すぎたよ。早く戻ろう"


現在の韓国ノワール作品とは少し雰囲気が違って、要素詰め込みまくりの怒涛の展開!というわけではなく、とても間のある作品だった。生々しいバイオレンスもありながら切なさが残るのはさすがやなぁ…とところでしょうか。
Tラモーン

Tラモーン