QTaka

BLUEのQTakaのレビュー・感想・評価

BLUE(2016年製作の映画)
2.3
ユートピア映画。
地下空間の生活と地上への思いを巡って物語は展開する。
この世界と別の世界。
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空想物語の場合の常で、舞台設定が重要且つ複雑。そこの処理がショートフィルムとしてとても上手くまとまっている。それは、この物語のリズムの良さにも繋がっている。
多分、主人公とその上司、そして出会った女性、といった最小限の登場人物という設定の工夫も有ったのだと推察できる。
それにしても、この状況を過不足なく示す前半は秀逸だった。
フルサイズ映画なら物語の展開が後半にも有るのだろうけど、そこは小さくまとめた感じ。
地上へ出て、陽の光と緑の草原を映し出したシーンは、素敵だった。
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ユートピア物語には、その前段の物語が語られる必要が有るのだが、この場合はそれは無し。
追い込まれたユートピア社会と、そこからの脱出が物語の中心。
そこに、背景としてユートピアの持つ暗黒面をテーマにした物語。
その点において、ユートピア映画の肝を捉えているとも言える。
ショートフィルム的には成功作だと思う。
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