幽斎

フューネラル 大人たちの同窓会の幽斎のレビュー・感想・評価

3.0
「イントロダクション」大学時代の友人の葬儀の為に集まった5人の男女。旧友との再会に喜ぶのも束の間、彼らは互いに本音で話せない事情を抱え、死んだ筈の友人を目撃するが・・・。

Caitlin Koller監督はオーストラリア出身の女性監督。2017年制作の短編「Blood Sisters」は、Spotlight Horror Film Festivalで金賞を受賞。20以上の国際映画祭で上映された。予告編は監督の公式でご覧頂けます。本作は監督の長編デビュー作。
https://www.youtube.com/watch?v=I0cJbiDTM04&ab_channel=CaitlinKoller

フューネラル、意味は「葬儀」。キャビンに集められたホラーと言えば、主人公は大学生が相場だが、本作は中年ばかり。と言う設定が斬新かは別として、Eli Roth監督デビュー作「キャビンフィーバー」とか「13日の金曜日」の様なスプラッター。或いはレビュー済5.0評価「キャビン」の様なクローズドサークルを連想させる。オープニングの不穏なテーマは良いが、肝心の中身は極めて微妙。

妻シルヴィアの奇怪な行動、残された自殺テープ、ゾンビ黙示録など、スリラーらしい伏線が無くはないが、肝心のオチが完全に詐欺で、監督はスリラーが不得意と思うしかない。結末の為に友人を使う、この視点は学生時代に良い思い出が無い首謀者を連想させるが、逆に性格や裏事情を把握してるからこその人選だった事が分る。しかし、ツッコミ処満載で下世話なスリラーに変わりない。

主演のCarrie Prestonは、私は見てないがTVシリーズでは有名で様々なシーズンに出演。映画では端役だが「それでも恋するバルセロナ」「ダウト あるカトリック学校で」「ステップフォード・ワイフ」「ベスト・フレンズ・ウェディング」とハリウッドのスターとの共演も多く、他の出演者もTV俳優。

登場人物が中年(表現が正しいかな)なので、性格の悪さや人間のクズっぷりは中々で、サッサとやってくんねえかな、と思う観客の気持ちは置き去りで一向に死なない。其処に伏線が有るがホラーとしても、スリラーとしても、面白さに欠ける。逆によくぞ辺鄙な場所に集まったな、と思える位に人間関係は最悪で、憎悪、嫌悪、妬み、恨み、嫉み、不愉快な心理戦が展開する流れは、女性監督らしいリアルさを感じた。此処だけは評価出来る。

首謀者も悪意に満ちたクズ、と思えばある程度は楽しめる低予算スリラー、お暇なら。
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