もやし

悪の法則 特別編集版のもやしのレビュー・感想・評価

悪の法則 特別編集版(2013年製作の映画)
5.0
見るの3回目かな?
ずっとタイトルの凡庸さのせいで見てなかったけど、たまたまBSでやってたのかな?見て何この恐ろしい映画…って思いました。2回目見てみたらやっぱり恐ろしくて、鳥肌が立ちました。私にとっては最も恐い映画の一つです。
そして3回目でようやく穏やかに分析しながら見れました。

初見の頃なんて麻薬カルテルという概念すら知りませんでしたからね。

当たり前ですがこの映画、とても好みが分かれるようで。平均スコア3.2といういわゆるB級映画のラインだと思われます。
そしてこの特別編集版の平均スコアは何と3.7のA級ライン評価。要は好きな人は大好きってやつだと思います。


エリート弁護士がもうちょっと稼ぎたいなという理由でちょっとだけ悪の道に片足突っ込んだら大怪我をして全てが崩壊してしまう話。


この映画の台詞は哲学的な話か女の話がほとんど。実際何をどうするかというのはほぼ語られない。
何もわからないまま、たまたま行った主人公の行為が麻薬カルテルに拡大解釈され勘違いされ、主人公はもちろんのこと、周りの奴がどんどん消されていく… 登場人物は、裏切り度の高い者ほど殺し方の残虐度が増すという地獄のようなシステム。普通に銃で脳天撃ち抜かれて死ぬなんてそんな生易しいことはしてくれない。
主人公は最後まで生き残らされ、心理的な地獄をとことんまで味あわされる。実際に殺す描写がないのがさらに恐怖を掻き立てられる。


哲学的な話、女に対しての分析話がとても面白く、意味がわかるような、全然わからないような…笑 とても難しくて観念的な話をしているのはわかる。


取り仕切ってる奴は凄い大物だけど、末端は金もらってやってるだけで、その本質など何もわかっていないのがメキシコの恐ろしさ。人の死体があっても顔色一つ変えない。人も簡単に殺す。そのシステムそのものが考えれば考えるほど恐ろしい。

一見大物に見える奴も一つの失敗で消されるのがこの世界。


最後の麻薬カルテルを取り仕切ってるおっさんに電話で命乞いをするシーンは印象的。もしかしたらこのおっさんもいつかは消されたりするのかな。

「人は生きてる限り自分の世界がどんなものなのかはわからない。死ぬ瞬間に全てを悟るのさ。」

いや、お前も死んだことないやろ!
もやし

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