かるまるこ

#生きているのかるまるこのレビュー・感想・評価

#生きている(2020年製作の映画)
3.4
『クレイジーズ 42日後』(原題『Alone』)の予告を観ていて、どっかで観たことあるなあ〜と思ったら、この作品だった。
リメイクか?と思ったらどうもそうでもないらしく…。
ネットフリックスオリジナル映画と銘打ってるのが事態を余計わかりにくくしている。
wikiによると『クレイジーズ〜』の脚本執筆が2019年で、それに基づいて今作『#生きている』が作られたとあるので、素直に考えるとリメイクだが、公開はこちらが先。
公開が前後し、情報もほぼないので真相は不明だが、今作の脚本クレジットが原典を書いたマットネイラー名義で、さらにwikiによると、監督と共同で今作を翻案したようなので、従来の時間差をおいてのリメイク、というより同時発生的なリメイク、要するに韓国(アジア)ローカライズ版と見做した方が良さそう。
それをネットフリックスが独占配信している形だと思う。

あらかじめ発売時に地域に合わせた形に作り替えて販売する手法は、ゲームの世界ではもう当たり前になっているし、映画もネット配信が主流にならざるをえない状況の中で今後こういう形式が増えていくと思うけど、最低限リメイクであるとかローカライズだとかは明記して欲しい。余計な誤解を生むし、知らずに観てしまったらがっかりするから。

閑話休題。

内容的には、外が急にゾンビだらけになったんで仕方なくマンションの部屋に籠城するコロナ禍にぴったりなステイホームゾンビ映画。

#(ハッシュタグ)がプロット上、重要な仕掛けになっていてグッとくる。
(『クレイジーズ〜』には原題にも邦題にも「#」が付いていないので、違いが気になるところ)

確かに大筋はとても素晴らしく、作り手も自信があるようで当初のプロットから変えたくないらしく、そのせいか人物が物語を成立させるための操り人形になってしまっている。細部のリアリティに欠け、主人公の行動にいちいち納得感がない。ゾンビ映画はむしろ、次々と襲ってくる危機にどう対処するか、という細部が重要視されるジャンルで、物語の大筋やテーマ、メッセージなんかはわりと言及されないので、登場人物の行動原理に納得感がないのはかなり致命的。

ステイホームものでありながら、やたらと不要不急の外出をするのも気になった。まったく必然性がなく、明らかに物語を進めるためだけに主人公を外出させている。
いっそのこと部屋から一切出ないワンシチュエーションゾンビ映画として徹底した方が、向かいのマンションの生存者との遣り取りにもカセが生まれて面白かったと思う。

3月に日本公開される『クレイジーズ 42日後』との違いを観てみるのも面白いかもしれない。
(予告の感じだと『#生きている』より向かいのマンションとの距離が近い! あと『#生きている』を観た人はわかると思うけど、ドナルドサザーランドが多分あの役で出てる)
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