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ヤクザと家族 The Familyのマチのネタバレレビュー・内容・結末

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

作品を好きになるのに、ストーリーがもっとも重要とは思わない。
ましてやジャンル、出演者でもない。
構造体として楽しんでいるところがある。色、かたち、骨組み等を吟味している。

好きなストーリーではある。
誰もが不変とおもいたがる人間同士の心の繋がりかた、絆のありかた。それすら社会の移り変わりに左右されてしまうことを、疑似家族のようなヤクザ達の衰退で表現しようとしている。

ただ、構成と展開にはかなりの不満が残る。「2019年」はとくに類型的。

・敵対していれば攻撃する。
・悪い噂が出れば職場や学校で居場所がなくなる。
・恨みがあれば、晴らそうとする。

本来これらの因果関係は、それが崩れるからこそドラマが生まれる。だが一度持った因果関係は時にダイジェスト映像をもちいて、示唆するとおりに結果まで早送りされていってしまう。

中盤までは人物が葛藤する描写が少しあったからこそ、映画全体を建築物に喩えると、色味の統一感がなく、若干いびつな仕上がりになってしまった印象がある。

個人的には結末となる「2019年」を充実させて、過去は時間軸を行き来する構成でよいと思った。

ラストの二人の邂逅。
翼の「話そうか」。いいセリフだ。
でも一体何を話すのか。語りあえるものがそう多くはなかった気がする。
若い彼らに、より多くの言葉を託せた展開だったら、さらに感動的なシーンだったに違いない。
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