れもん

ヤクザと家族 The Familyのれもんのレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
4.3
2021/2/15 #4
この作品は山本賢治そのものの人生だ。
親も亡くして身寄りもない、ヤクザになんでこれぽっちもなりたくないのに、行く当てがない。親分に拾っていただいてヤクザになる以外の選択肢がなかったのだ。
拾っていただいたのだから、親分のために自分ができることを。そういう世界だと思う。義理と人情。日本人らしいなとも思う。だけれど、時代が流れれば、社会の形も変わる。なんとか自分の過ちに目を背けることなく、なんとか立ち直ったのに、社会はそれを認めてくれないのだ。人を取り締まっていいのは、法と警察だけのはずだったのに、時代は進みすぎてしまったのかもしれない。今は法なんかよりも社会的制裁の方がきついではないか。
実際に私は現役ヤクザの方にお会いしたことはないし、ふとヤクザだと知ってお会いしたら、身構えてしまうだろうけど、そういった人にもやり直す心意気の人もうるだろうに。なんでも偏見で判断することなく、やり直しができるチャンスをみんなが持ち合わせている社会になるといいなと思った。こんな世の中でも生きていかないといけない。形は変わってもいつまでもそういう人は居続けるのだろうな。

あんなに若い監督が作っているだなんて、信じられないぐらい重圧のある作品。綾野剛の圧巻の演技。そして、常田さんの音楽。音楽も含めて作品だった。
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