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ヤクザと家族 The Familyの010101010101010のレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
3.5
『アウトレイジ』以後のヤクザ映画って、それまでの「ヤクザ・任侠映画」との距離をどのように計るか、というところが一つのポイントになってくる印象があったのだが、この映画、思ったよりも昔のヤクザ映画を思い出させるようなところがあって、義理・人情が無残に切断される時代を生き延びているヤクザの姿を映し出しつつも、映画自体は情が溢れ出るようなエモさだった。

それにしても二時間の映画とは思えない濃密さ。
「帰ってきてから」の綾野剛の表情が何ともいえない。
尾野真千子は、次世代の倍賞美津子を取りにいってもらいたいような存在感。
「15年」って言ってたのに「14年」って言ってたのは、そういうことか…。

別に従来のヤクザを肯定するつもりはないけれど、ワケあって家族がいない、家族が壊れてしまった、あるいはそれを捨ててきた者にとっての疑似「家族」たるヤクザが時代の変化の中で無残に壊れてゆくのも、
またそんなヤクザだった過去が、ようやく手にした(と思われた)本当の(?)家庭すら奪ってしまう・壊してしまうという、二重の救われなさが、ただただ切ない。
そんな中にあって、次世代の二人の姿に、ただただ祈るように希望を見る。二人はどんなことを話し、少女は何を思い、そしてどのように生きてゆくのだろうか。青年もそうだ。お母さんを幸せにしてあげろよ、と言っていた言葉を思い出す。母さんを泣かせるような人生だけは送らないでほしいと思う。


さて、途中から、エンディングでクソみたいなJ-popとか流れ出したらヤだなぁ…、と思ってたんだけど、なんだ、この初期七尾旅人とBon Iverの影響を同時に受けてるような曲は?!
今のJ-popって、すげぇクオリティのが売れてんだな…。