つめけん

ヤクザと家族 The Familyのつめけんのレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
3.7
「愛しこの日々に 意味などはいらない ただ ただ そばにいたい」

暴力団への締め付けが強まる現代における、ヤクザしか生きる道がなかった人たちの苦難の話。かなりつらく救いのない話だけど、現代ヤクザ作品の傑作。

市井の人々に恐怖と混乱を与える暴力団の行為は到底許されることではなく、法によって裁かれるべきだけど、それをどこまで、いつまで許さないかっていうのは難しいところ。一度極道に入った人間には問答無用で更生のチャンスもやらず見殺しにしてもいいのだろうかと、締め付けることと赦すことのバランスが問われる。

ヤクザ云々を抜きにしても、今作は1人の哀しき男の物語としてよく出来てた。終盤、家族の元から去ってカチコミ入れて殺される一連のシーンが美しい。ヤクザ映画らしいっちゃらしい描写だけど、「ヤクザ」という状況がなくても、格好良くも悲劇的な「漢」の描写として素晴らしい。


同時期に公開されていた「素晴らしき世界」と概ね同じテーマだったけど、より情緒的。キャラクターもこっちの方が血が通ってる感じがして好み。

直近で「アウトレイジ」を見てたから、綾野剛や舘ひろしが綺麗なヤクザすぎてビックリした。これこれ。フィクションのヤクザは基本こうよ。

主人公とヒロインの馴れ初め話にずっと違和感があった。「好きにならなきゃよかった」みたいなこと言ってたけど、こちらとしては何故好きになったのかがイマイチ伝わってこなかったよ。

あと一般人がSNSに上げた一枚の写真ごときでそんな悪いことしてるわけでもない人が炎上して特定って……ちょっと無理があるだろ。
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